てぐすねまんでー すっかり夜明かしをしてしまった。
本を読み終えたタイミング。端までぴったりと閉めていなかったらしいカーテンの隙間から、細く強い日が射し込んでいるのを見て、私はそう思った。街はもうすっかり、太陽に照らされている。一度気づくと周りの様子が鮮明に拾えるようだった。
窓の向こうからは、薄らと喧騒が聞こえて来る。耳を澄ますと、小さな子供の、きゃらきゃらと楽しそうに母親を呼ぶ笑い声がした。今日のお昼はなあに、と尋ねる様が微笑ましくてつい笑みが漏れる。お昼、お昼ご飯、昼食。おやもうそんな時間だったのかと驚き、壁掛けの時計を見やれば、針が指していたのはてっぺんを少し過ぎた辺りであった。
私としたことが、本に夢中ですっかり朝を通り過ごしてしまったらしい。
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