贈り物私は手の中のかわいらしい髪飾りを見つめていた。
この前、大包平が髪を結ってくれた時にくれて、似合うと言ってくれた髪飾りだ。
その時のことを思い出して嬉しくてにやにやしてしまう。が、髪飾りを見つめていた理由を思い出してため息をついた。
大包平に、お返しに贈り物をしたい。なにか、彼に似合うような素敵なものを。
ただ、大包平にどんなものをあげればいいのか全然わからなかった。
大包平は何もいらないと言っていたけど、もらった気持ちを返したかったのだ。
考えても思いつかないものは仕方ない。というより、無理やりひねり出したようなものはあげたくない。
「まあ、そのうちいい出会いがあるかもしれないし」
焦らなくてもいいか、と思い、手の中の髪飾りを大事にしまった。
1953