モブフロ誘拐モノの序章太陽がメインストリートの白い石畳を真上から照らし、跳ね返った光が目を焼く。あまりの熱にリドルは眉をしかめた。
「今年の猛暑はひどいものだね。」
午前中は曇っていてそれほどでもなかったが、書店で本を選んでいるうちにいつしか強烈な晴れになっていた。
メインストリートを抜け、吹き出る汗を拭きながら、カレッジへの道を急いでいる時だった。
「あーー…、金魚ちゃーーーん…」
太陽と同じ角度で、間延びした声が降ってきた。
「ゲッ、フロイド!?」
目を突き刺すような太陽光に顔をしかめながら上を向けば、屋根の上に見知った長身があった。
「この暑い中、キミのおふざけに付き合うつもりはない。」
炎天下の中、フロイドに絡まれておいかけっこなんて、考えるだけで熱中症になりそうだった。 絡まれる前に、と踵を返そうとしたが、それより早く、フロイドが屋根の上でぐらりといやな感じに傾き、そのまま頭を下にして落下を始めた、
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