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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLE5203初めての帰省。次兄(5202)と向かい合っててお喋りしているみたいなので。
    変わるもの、変わらないもの 遅い日の出を沖合いで迎えた。暦の立春こそ過ぎたとはいってもまだ冷え込む日が続く。居住区を出る前にもそもそと着込んでから外へと繋がる扉を開いた。初春のやわらかな日差しのなか、旅立ちの期待と不安を膨らませながら振り返り際に見た、思い出深い景色。今朝はあいにくと雲が多くてしばらく経っても薄暗いままだったけれど。
     接岸のため近付くにつれ、見えてきた真新しいロゴマーク。確実に一年前と違う部分に、なんだか初めて呉へ入港したときと同じくらいに緊張してしまっていた。身体が強ばっているのは寒さのせいだけではないだろう。
    「……お邪魔、します」
     艦から降り立ってぽそ、と発した言葉は少しぎこちない。よく知る、生まれ育った場所だけれど、もう自分の家ではないんだなぁと寂しさを抱く。そんな自分の内心を知ってか知らずか、出迎えてくれた次兄は静かに「お疲れ」と返してきただけだった。あまりにもいつも通りの落ち着いた声と変わらない物静かな様子を前に、ゆるゆると張りつめていた糸が解れていく。顔を上げ他人行儀な間合いから一歩詰めれば、ふっと薄く笑って帽子越しに頭をぽんぽんと叩かれた。子供の頃のようなやり取りに目を見合わせて笑い合う。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLE暑い地域に出張中の118、公式アカウントから"溶けずに頑張っています"と紹介されていたのがかわいかった。お疲れ様です。
    冬の名をもって 夏が終わりきらないような暑い日に日本を発って以降、ぬるま湯のように温かな海水が常に艦を纏っている。人の身にもじりじりとした日差しが容赦なく照りつけ、半袖から覗く腕はじっとりと汗をかいていた。夏生まれだからか、寒いよりは暑い方が馴染みはある。あるけれど、年中となると話は別でいまはキンと冷えた冬の空気が恋しい。どんよりとした雪雲に覆われた灰色の空さえも。
     舞鶴で最初の冬に迎えた初雪は、一晩で降ったとは思えない程の雪の深さに目を疑い、ただ歩くだけのことに四苦八苦したのも今となっては懐かしい思い出となっている。派遣の日程を聞いたときからわかってはいたけれど、雪を見ることなく冬を終えることになるのはやっぱり少し寂しく感じるもので。今年は各地とも冷え込んでいるようだと聞くから今日も銀世界が広がっているだろうか。音の消えた中で白い息を吐きながら夜空を見上げる楽しみは一年お預けだ。月明かりが積雪に反射してほのかに明るい夜。自分の名前に関係するから贔屓目もあるかもしれないけど、特に好きだと思う。
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    105@海自艦擬人化

    DONE404命名話。403目線。追いかけてきた存在と生まれたての子を同じ名前で呼ぶのを最初のうちは慣れないんじゃないかなと
    次代への意思 夜からパラパラと降っていた雨は幸い止んだようだ。ただ、空を見上げるとまだ今にも降り出しそうな曇天が広がっている。天気予報を確認してみたところ残念ながら気温が上がる見込みはなさそうだったから、羽織るものを適当に掴んでから部屋を出た。
     普段であれば作業車が行き交い、多種多様な騒音が響く構内も、今日ばかりは式典に向け多くの人が段取りの指示を出し合っている声が聞こえるだけの静かな朝だ。まだ式の開始まではまだ少し余裕があると様子見へと足を進めた船台、その上の紅白幕と信号旗に飾られた艦本体の傍らに主役も見受けられた。しばらく様子を見ていたら気配を感じたのかパッと振り返り、そのまま駆け寄ってきたので抱き止めてやる。どうやら式の用意が整うにつれ緊張してきたらしい。ぎゅう、と腰にしがみついたまま離れようとしない。昨日までは楽しみで仕方なさそうな様子で飾り付けられた艦を飽きることなくきらきらとした眼差しで見つめていたものだが。顔を見ようとして触れた頬が冷たく、ひとます持ってきておいた羽織りをマントのようにして被せてやる。子供用の上着を用意してなかったから不格好ではあるのだが、一時凌ぎには十分だろう。落ち着かせようとトントン、と背を叩きながらどうしようかと思案する。そろそろこの場所には一般客が入る頃合いのはずだ。
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    105@海自艦擬人化

    MOURNING3513+3818。フライングして書いた退役話が都合で没になったので…。(前半になるはずだった部分)もう仕事らしい仕事は無くやることといえば掃除と身辺整理くらいのものだ。昼も済ませ、暇をもて余していたところへ腐れ縁の同僚が顔を覗かせた。基地内ならまだしも、今いる造船所側までわざわざ来るとは珍しい。ちょっとお邪魔するねとだけ言って、返事も待たずにさっさと入り込み、自身が椅子代わりにしていたベッドに迷わず腰を下ろした。
     遠慮が無いのはお互い様だし、どこでも構いはしないが隣は流石に少し鬱陶しい。しんとした室内では息づかいすら聞こえそうな距離だ。元々口数が多い奴ではないといえ、自ら足を運んでおいて黙り込むのも妙な話だ。しばらく、何事か考え込んでいる様子をチラリと横目で盗み見る。長い付き合いで機嫌の良し悪しや考えはなんとなく理解が及ぶと思っていたが、今日ばかりはさっぱり話が読めない。用があるならそのうち勝手に話すだろうと放置を決め込み、読みかけだった雑誌をぺらぺらと捲る。
    「しまゆき」
    随分と長く感じた静寂を裂いてようやく、ぽつりと呟かれた呼び掛けにんー?と生返事をする。目線は落としたまま続く言葉を待つ。
    「私は、この30年余りが結構好きだったみたいで。遠航行って、観艦式も出て。佐世保から呉 991

    105@海自艦擬人化

    DONE5203就役祝い!5201と過ごす朝のはなし。「兄さん」
     日が昇って間もない時間。少しひんやりとした空気の中、静かに掛けられた声に振り向く。少し照れくさそうにしながらも、すっかり一人前の顔をして制服を身にまとう弟の姿に目を細めた。艦としてはまだこれからが本番とはいえ、早いものでもう就役かと思うと感慨深い。弟妹が出来ると聞いた時にははりまと顔を見合わせたものだけど、長い二人兄弟の期間どうしていたか忘れそうなくらい既に三人兄弟で馴染んでいる。
     よく似合っているよ、と自身と横並びになった頭を軽く撫でる。少し気恥ずかしそうに笑うその顔は朝日に照らされて眩しい。
     就役してしまえばこうして甘やかす機会はほぼ無くなってしまうだろう。離れがたくて寂しがっているのはむしろ自分の方だな、と自嘲する。見送りのときまで近くにいてやりたいのは山々だが、あいにくの人数制限でそれは叶わない。情勢も艦の予定も自分では決められない以上、この場にいられるだけで幸いというものだろう。まぁ、式の様子はくまのに教えてもらう予定だけども。
    「あき、就役おめでとう。呉まで気を付けて。向こうで会うのを楽しみにしているよ」
    「うん。早くお仕事分担できるように頑張るからね」 582

    105@海自艦擬人化

    DONE5201+5203+②
    長兄が里帰りしたので!
    感覚的には子供を構う親戚のおっちゃん。
    一面雲が覆う寒々しい空模様の中、冷気に身を縮こまらせつつ艦から降り立った。昨日の陽気とのあまりの差に、方々でさみぃと漏らす声が響いている。
    雑務処理に散る乗員達を横目に一人ドックへと足を運ぶ。記憶の中の小さな弟も、もう就役が近いから随分大きくなっていることだろう。そんなことを考えながらのんびり歩く自身の足音に、徐々に近付く子供の駆ける音が加わる。少し思い返して護衛艦の子か、と合点がいった。ひょっこりと覗かせた背格好からも恐らくそうだろう。
    くまの、と名前を呼べばにこりと笑う。釣られて寒さで強張っていた表情が自然と緩んでいく。数歩の距離を詰め、子供の相手は慣れないなりに腰を落とし目線を合わせた。
    「あき君のお兄ちゃん?」
    「うん。そうだよ。あきは何処に?」
    向こう、と指差す先には艦本体。その甲板にうっすらと小さな頃の面影が残る姿が見える。ほんの少し見ないだけですっかり大きくなったものだ。いまはちょうど、子供のように甘えるか大人として対等に振る舞うかどっち付かずの時期で、実質初対面の兄に面と向かうには複雑だろうと、距離を保ったままタイミングは任せるつもりで様子を窺っている。
    「あのね。あき 933