kanbu_yfsy
TIREDちりんと鈴の音の鳴るような軽やかな声が耳を揺らす。音の方に視線を向ければ、二人の女性が口元を抑えてくすくすと笑みを零していた。そこに交わるのは爽やかでどこか清涼感のある耳に馴染んだ声。そうして彼もまた呆れた顔をしながらも笑う。人の良い笑みを浮かべた彼の腕を、女性が楽しげにぱしりと叩いた。ずきり。アレンの胸元が何らかの異常を知らせる。そっと胸に手を当ててみるが、未知なる感覚は掴めない。胸中が淀み、何かが喉元に引っ掛かっているような。加えてゼファーの笑い声が随分と遠い気がする。自覚できる異変はそれだけだ。
思い当たるのは、治癒術を多用した先日のこと。きっとその疲労のせいだから、ひと眠りすれば治るだろう。そしてアレンは、ゼファーに声を掛けることもせず背を向けた。アレン、と声を投げ掛けるゼファーに気付くこともなく。
「ゼファー。相談があるんだけど、いいかな?」
「ん? おう、なんだ」
振り向けば、不安な表情を浮かべる相棒がいた。何か心配事だろうか、とゼファーはアレンの言葉を待つ。
「その……ここ最近、身体がおかしいみたいなんだ」
「身体が? 調子でも悪いのか」
「体調が悪いわ 1130