リリ小屋
DONE王子お誕生日おめでとう🎂王子隊に祝われる王子の話です。いっぱい祝われてほしい。
元々は「癖ある馬に能あり」です。
癖ある王子に馬あり───橘高羽矢は、決意した。
今年の王子誕は何としてでも盛大にやらねばならぬ、と。
橘高はオタクであった。それも絵を描くタイプのオタクである。
その橘高の誕生日、王子から送られたのは、蔵内と合作した自作の「トレスOKポーズ写真集」であった。絡みありスーツ有学ラン有ブレザー有の。
(か、神………!!!)
だからこそそのお返しで、王子の誕生日のサプライズプレゼントを外す訳にはいかないのである。この上なく王子のお気に召して、ビックリして、有用なものでなくては。
そう密かに燃える橘高の熱意に感動した蔵内(とその空気に引きずられた樫尾)により、今年の王子の誕生日会は、実に練りに練られ、入念な計画と会議を重ねていた。コソコソ皆が会議をしていることに王子がとうに気づいている、と樫尾だけが知っていたが、先輩方の顔を立ててそっと黙っていた。出来る後輩であった。
3425今年の王子誕は何としてでも盛大にやらねばならぬ、と。
橘高はオタクであった。それも絵を描くタイプのオタクである。
その橘高の誕生日、王子から送られたのは、蔵内と合作した自作の「トレスOKポーズ写真集」であった。絡みありスーツ有学ラン有ブレザー有の。
(か、神………!!!)
だからこそそのお返しで、王子の誕生日のサプライズプレゼントを外す訳にはいかないのである。この上なく王子のお気に召して、ビックリして、有用なものでなくては。
そう密かに燃える橘高の熱意に感動した蔵内(とその空気に引きずられた樫尾)により、今年の王子の誕生日会は、実に練りに練られ、入念な計画と会議を重ねていた。コソコソ皆が会議をしていることに王子がとうに気づいている、と樫尾だけが知っていたが、先輩方の顔を立ててそっと黙っていた。出来る後輩であった。
リリ小屋
DOODLEラリーパロ蔵王愛と狂気のタイムトライアル人のいない道を跳ねるように、滑るように車体が駆け抜けてゆく。
悪路をサスペンションが吸収してゆく。
明かりのない道を、ヘッドライトが頼りなく少しだけ照らし出す。
エンジンの唸りが、静かな夜の林道に荒々しく響く。
ラリーという競技は、国内では多く、夜中に人の住んでいないような道を使って走る。
街灯なんて当然ない。
曲がりくねった道、知らない道を走ってタイムを競う。
視界なんて当然、無い。ガードレールすらない道もある。
一歩間違えれば崖から車は転落してしまうだろう。
そんな道を、まるで狂気のようなスピードでドライバーはアクセルを踏む。
ただ、隣にいる己のコドライバーだけを信じて。
何メートル進み、どちらにどう曲がるのか。
3631悪路をサスペンションが吸収してゆく。
明かりのない道を、ヘッドライトが頼りなく少しだけ照らし出す。
エンジンの唸りが、静かな夜の林道に荒々しく響く。
ラリーという競技は、国内では多く、夜中に人の住んでいないような道を使って走る。
街灯なんて当然ない。
曲がりくねった道、知らない道を走ってタイムを競う。
視界なんて当然、無い。ガードレールすらない道もある。
一歩間違えれば崖から車は転落してしまうだろう。
そんな道を、まるで狂気のようなスピードでドライバーはアクセルを踏む。
ただ、隣にいる己のコドライバーだけを信じて。
何メートル進み、どちらにどう曲がるのか。
リリ小屋
DONE押せ押せされてた王子にふっと引かれると弱そうですよね水上、という話合鍵温めました「今日きみの家に行ってもいいかい?」
「ダメや言うてもいっつも突撃してくる奴が、何考えとるんや、言え」
「誕生日って知ってる?」
「おん、今日やな、お前の誕生日」
「えっ」
知ってたの、と言うはずの声が喉で引っ掛かって止まった。
一月十一日。
休み明けにクラスで祝われて、隊の皆にも祝われて、さておめでとうの一言すら寄越さない水上に文句の一つ彼の机に落書きしてやろう、そう未練がましく3Cの教室まで行ったら、水上が一人、居残りのようにしてそこに座っていた。
長い脚を行儀悪く組んで、机に肘をついている様が妙に絵になっているのすら憎らしい。
王子の口元がほんの一瞬悔しそうに歪んで、それからわざとらしいまでの綺麗な笑みを浮かべるので、(コイツはほんまに顔のええやっちゃな…)と水上は思った。
4041「ダメや言うてもいっつも突撃してくる奴が、何考えとるんや、言え」
「誕生日って知ってる?」
「おん、今日やな、お前の誕生日」
「えっ」
知ってたの、と言うはずの声が喉で引っ掛かって止まった。
一月十一日。
休み明けにクラスで祝われて、隊の皆にも祝われて、さておめでとうの一言すら寄越さない水上に文句の一つ彼の机に落書きしてやろう、そう未練がましく3Cの教室まで行ったら、水上が一人、居残りのようにしてそこに座っていた。
長い脚を行儀悪く組んで、机に肘をついている様が妙に絵になっているのすら憎らしい。
王子の口元がほんの一瞬悔しそうに歪んで、それからわざとらしいまでの綺麗な笑みを浮かべるので、(コイツはほんまに顔のええやっちゃな…)と水上は思った。
NARI
DONEお題箱より「王子と弓場」
かっこよい雰囲気にしたかったけど(特に王子が)邪悪になってしまったかな😂
この2人の共闘が本編で見たいな~昔同じ隊だったから今も連携取れます!みたいなのアツい😎
ありがとうございました❤️
NARI
DONE #リプきたキャラを赤面させる鳩原・漆間・王子・真木 でした!
本編ではなかなか赤面見られそうにない子たちばかりで絶妙な人選だと思いません!?(リプくださった方々ありがとう😊)すごい新鮮で楽しかった!
palco_WT
MEMO蔵内と王子(水王)王子と蔵内
防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
「早いね、クラウチ」
「明日から試験だからね」
「午前中であがり?」
「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
767防衛任務の交代時間まであとに十分ほどだろうか。
ちらりと見上げた時計は蔵内の予想した通りの時刻を指していた。六頴館高校では明日から定期考査ということもあって、早めに授業が終わった蔵内はその足で本部の作戦室で問題集に目を通していたところだった。さっきまでこの場にいた橘高は、王子隊と入れ替わりになる弓場隊の藤丸へ差し入れをしてくる、と言い置いて出て行ったばかりだった。程なく戻ってくるだろう。
さて、羽矢さんが戻ってくるより先に王子と樫尾、どちらが来るかな、と蔵内が思っていると、扉が音もなく開いた。
「早いね、クラウチ」
「明日から試験だからね」
「午前中であがり?」
「ああ。家まで戻ってからこっちに来るのも無駄だから、そのままここで明日に備えさせてもらってた」
水鳥の
MOURNING初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。「好きだよ、イコさん」
時も場所関係なく伝えられる言葉に、生駒は不思議そうに尋ねたことがある。
「なんや、王子、どないしたん?」
「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
「それなら、ええ」
にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
「で、今も続いてる、と」
生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
「そうや」
生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
「王子も可愛いところあるじゃないか」
嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
嵐山の問いに柿崎が答える。
「いや、そんなんないな」
生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
「ないのかよ」
「 1089
palco_WT
MAIKINGフィルター みんぐと王子と。新書メーカーでTwitterにあげたやつ。https://twitter.com/palco87/status/1337402360893587456災害や内乱などで壊れ、復興しかけた場所を、ずっと撮って回っているのだと彼は言った。それこそ世界各地を。
もし行けるなら、近界だっけ、向こうの世界もフィルムに収めてみたいな、と子どもみたいな笑顔で男は笑った。
壊れかけ、修復のまだただなかにある風景で、そこで生きていく人たちの姿を、一枚の銀塩に写し取る。三門市までやってきた男が、そのモデルに選んだうちのひとりは、意外なことに水上だった。
風が吹き、春の予感をはらんだほのかな温もりをともなった風が、ばさばさと屋上に佇み、警戒区域を見下ろす水上のバッグワームをはためかせる。本来、トリオンではない物理法則の影響を受けないバッグワームが風に揺れるのは、それが換装体ではなく、生身に隊服をまとい、更にバッグワームを模したマントを羽織っているからだった。
「なんで、彼なんですか」
「色気かな」
「色気?」
「そう。一秒後には自分を害してしまいそうな危うさって言ったらいいのかな。不意に気まぐれで、線路やビルの屋上から飛び降りてしまいそうな」
「確かに、ぼくたちの防衛任務《しごと》はとてもじゃないが安全というものではありませんが、彼はそこまで捨て 931
palco_WT
DONEオール・ダージュplus5二十歳になった弓場ちゃんと王子と記憶の中の神田。
タイトルに困ったあげく、ブランデーの十五年もの+5で二十年って意味にこじつけた。゚(゚´Д`゚)゚。
ランク戦と遠征選抜試験の三月が過ぎ、四月を迎え五月を控える、世間ではゴールデンウィークと呼ばれる頃、弓場は二十歳になった。
一日早く二十歳になった生駒を含めた同輩のみならず、気のいい隊員や、元隊員たちはせっかくだからパーティでもしませんかなどと可愛いことを言ってはくれたが、せっかくのランク戦オフシーズンで任務だけしか決まった予定の入ってない貴重な時期、どうせなのだから巧くスケジュールをやりくりして、授業のない期間にしか出来ないことをしろ、ときっぱり断ったのだった。
「……って俺は言ったはずだぞ、王子ィ」
「承知してます。だからこれはぼく個人の用向きです」
築二十年という、奇しくも弓場と同い年のアパートの玄関の前に立っているのは、かつての部下であり、今では同じB級隊長として競い合う好敵手でもある若者だった。明るい色のトップスにサマーカーディガンを羽織り、タッセルのついたバブーシュという少女めいたコーディネイトが似合う彼は、ひょい、と手にしていた小さめの可愛らしい紙袋を顔の高さまで持ち上げてみせた。
2645一日早く二十歳になった生駒を含めた同輩のみならず、気のいい隊員や、元隊員たちはせっかくだからパーティでもしませんかなどと可愛いことを言ってはくれたが、せっかくのランク戦オフシーズンで任務だけしか決まった予定の入ってない貴重な時期、どうせなのだから巧くスケジュールをやりくりして、授業のない期間にしか出来ないことをしろ、ときっぱり断ったのだった。
「……って俺は言ったはずだぞ、王子ィ」
「承知してます。だからこれはぼく個人の用向きです」
築二十年という、奇しくも弓場と同い年のアパートの玄関の前に立っているのは、かつての部下であり、今では同じB級隊長として競い合う好敵手でもある若者だった。明るい色のトップスにサマーカーディガンを羽織り、タッセルのついたバブーシュという少女めいたコーディネイトが似合う彼は、ひょい、と手にしていた小さめの可愛らしい紙袋を顔の高さまで持ち上げてみせた。