ボツです。 雲夢の手伝いに行きたい――遠慮がちに切り出されたその申し出を、藍忘機はもろ手を挙げて賛成したわけではなかった。たとえ何年経とうと江晚吟が彼にした仕打ちを忘れないのと同様に、魏無羨もまた何年経とうと江家に受けた恩を忘れはしないのだ。反対したところで魏無羨は諦めないし、話を持ち出されては口論するのが目に見えているので、「くれぐれも怪我をせぬように」と送り出したのが実情だ。結局のところ、藍忘機は道侶に甘い。分かっていないのは当の魏無羨くらいであろう。
「ありがとう。理解ある最高の夫で嬉しいよ!」
せいぜいが物分かりのいい振りをして、魏無羨を送り出す。これでとうぶん雲深不知処から出さない理由が出来た、と自分を慰めていたのだが。
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