渚の乙女 暗い昏い闇の中にいた私を連れ出した光。
それは優しく揺らめきながら、闇の中を優しく照らした。
時には眩しくて、時には柔らかくて、輝く強さを変えながら絶え間なく揺れる光。とてもあたたかくて、でもどこか寂しくて、それでも惹き付けてやまない光。
それを何に例えていいのか、当初は分からなかったけれど。
アスバルを追ってアストルティアへ向かった時、ほんの少しだけ見たもの。
魔界とは違う色彩のものが、彼女らしいと思ったの。
○●○
「ナディアはなんだか、海、みたいね」
アスバルの計画に従って、明日のために泊まった宿屋のお部屋。湯浴みをして、ナディアに髪を解いて貰いながら、私はそう告げていた。
当の彼女は驚いたのかしら、小首を傾げたのがわかったわ。
1334