凍てつく夜に凍てつく夜に
「たっだいまー」
気の抜けた、甘えたような声でドアをひょいひょいと潜りながら五条悟は恋人へ声を掛けた。
内心、「あなたの家じゃないですけどね」と思いながらも、五条にとってこの家が彼の自宅と同じ位置づけになったのだと嬉しさが込み上げてくる。
キッチンから顔を出し、
「おかえりなさい。悟さん」
とできるだけ優しい声で迎える。その声を聞いて、ヘラッと笑う彼は可愛い。リビングへ向かうかと思いきや、のそのそとキッチンへやってきて、後ろから抱きついてきた。
「温かい飲み物を煎れてますから、リビングで待っていてもらえますか?」
そう声を掛けるも、駄々っ子のように無言で頭を振って肩に額を擦りつけている。これは、定期的にやってくるあれか。
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