——これだから体育会系は苦手だ。
幾多の視線を感じながら、臼井は顔を曇らせた。
高校卒業後に加入した札幌のクラブチームで訪れた沖縄。もちろん遊びのためではなく、リーグ開幕戦に向けての調節が目的だった。日中は練習とトレーニングマッチ等が組まれ、夜はミーティングで過密なスケジュールを過ごしている。それでも普段過ごしている真冬の札幌とは異なる穏やかな気候に、皆どこか開放的になっていた。否、なり過ぎていた。
「次、臼井行くか!?」
先輩の濡れた手が肩を掴み、臼井は身体を強張らせた。夕食で妙に場が盛り上がり、隣接しているプールにチームメイトが飛び込み始めたのだ。名前をコールされた者が面白おかしく煌めく水面に倒れこみ、笑いを誘う。貸し切りなので誰かに迷惑がかかるわけでもないが、自他ともにクールと称して生きてきた臼井にとって、避けたい事態だ。
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