心地良い微睡みの中、傍らから伝わる静かな熱がいやに眠気を誘うことを知ってから幾許の時が経つが、未だ慣れず仕舞いだった。
とろみのある温かさに浸りたい意思に反し、真上の意識は急速に覚醒した。目を覚ませば、手の届く範囲に他者が存在することは、今までの真上の経験からすると異常事態とも言える──のだが。
その相棒の寝顔が幼かった。元より、海動のくるくると変わる表情はどこか悪童を思い起こさせるものだったが、それの比ではなく、顔つき、輪郭からしてやや丸みを帯びていた。
「……は?」
掛け布団をひっぺがしてみれば、予想に違わず縮んだ背。関東地獄砂漠にて邂逅した時のように身体を薄汚れたマントで包んでいるが、布の間からは、薄い筋肉をまとった細い腕が覗いていた。
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