十二月も半ばを過ぎて、すっかり寒くなりコートが手放せなくなる季節。
そんな寒い気候とは裏腹に、俺の心境はとても暖かいもので溢れている。
今日の最初の講義へ向かうべく広い構内を歩きながら、鞄の中を弄ると二枚の紙片を取り出した。
その紙の表面に書かれているのは、バースデーライブという見出し。今月の二十三日と二十四日に開催されるそのライブのチケットだ。
今朝発券してきたそれを何度も見返しては、ちゃんとそのチケットが手元にあるという事実に思わず口元を綻ばせてしまう。よくみるとそこに書かれた整理番号も、おそらく最初の方に会場入りできるだろう随分と若い数字が刻まれているから尚更だ。
毎年こんな年の瀬の週末は、俺が密かに応援し続けているアイドルユニットの誕生日という、一年で一番大切なイベントが控えているのだ。
2067