ふるりと冷たい風がふいてジョーカーはひゅっとドゥエが持たせてくれたストールに顔を埋める。
今日はヴォースィミとカローリにあげる報告書を作成して、今からシックスのマンションに戻る予定だったのだが、夏から秋……といっても最近の異常気象のせいで突然寒くなりせっかくだから、とウーの店にでも顔を出しに行こうかと思ってそばを通ったのだ。
「あれ、おーい、ジョーカー!」
ウーの中華店の近くまでいけば、見知った顔がこちらに気付いたのかぶんぶんと手をふられ、ジョーカーはそちらに視線を移した。
「あれ、サンと……ヨン?」
店の中や部屋に居るのはよく見るが、こうして中華店の外にいるのは珍しく、少し裏手に入ったところにいるサンの姿を追うようにそちらに向かう。
1800