路地裏での出会いワイのイメアドのタールくん
今ではおっとりしてるけど、昔ではまるで大違い
そんな彼がとある人物に出会い、今に至るお話です。
「オラァッ!!!」
バキッ、グシャッ…ドサッ
「な、なんだコイツ、、、ガキのくせに、なんて強さだ…」
「黙れ雑魚が、雑魚のくせに俺様に楯突こうなんざ100万年早いんだよ!バーカ!」
俺はタール。ここらじゃ名の知れてる喧嘩小僧だ。
皆俺が女みてぇな顔してるしガキだからって舐めてかかってくるけど、昔っから何かあったら直ぐに暴力で解決してきたから、それなりに実力はある。大人でも俺に負けるくらいだ。そこらのチンピラどもが勝てるわけがない。俺は最強なんだ。何にも動じない。何にも情を出さない…と、思ってた。思ってたんだ。けど、違った。
ある日俺は遊びに出かけた矢先、人気のない路地裏で1人のアドソンを見かけた。服も汚いし髪の毛が目にかかってて顔が見えねぇからなんか不気味で気持ちわりぃ。路地裏って言っても、結構広めの場所だからよくそこで遊んでたんだ。それに俺は縄張り意識が強い方だから、殺してでもどいてもらうつもりで話しかけた。
「おいお前、そこどけ」
「……」
「おい!聞こえてんのか!?」
「…………」
なんだコイツ、舐めてんのか、殺してやろうか、殺してやる、俺の縄張りに勝手に入ったんだ、コイツが悪い
そう思って殴りかかった
「……ッ!?」
いきなり拳が目の前に来た。俺は驚いて止まってしまった。
(しまっ…!)
「…………?」
痛くない、殴られてない?
そいつは殴るどころか、腕をその位置で固定してた。
「はは、な、なんだよ、やっとどく気になったか」
するとそいつはその拳を開いた。そこにあったのは…
「は?飴?」
そいつは飴をよこしてきた。
「ほら、そんなカッカしてないで食えよ」
とりあえずそこは身を引いてやった。
しばらくして
「おいおっさん、もう一個よこせ」
「おじょーちゃん食べるの早くないかい?それに、おじさんちゃんと"ルシューム・プリカドー"って名前あるから。」
「俺は女じゃねぇ!!」
「はいはい、ほら、別の味」
「ん」
「おじょーちゃんもしかして飴噛んでる?ガリガリ言ってるよ?」
「あ?噛んだ方が早いだろ。それに女じゃねぇつってんだろ!てか、逆におっさんがおせぇんだよ。噛んだ方がいいだろ。」
「いいや、舐めるのもいいもんさ。」
「なんでだよ。」
「飴を舐めてると、舐めてるその時間を、舐めてるだけ実感できるからさ」
「…………はぁ?馬鹿じゃねぇの?おっさん。気持ちわりぃぞ。」
「そんな言わなくたっていいじゃないか…」
そんなことを話してたら、気づけばもう帰る頃になっていた。
「じゃあなおっさん。また来てやるよ。おっさんのことは気に入ったから、ここにいることも許してやる。」
「……あぁ」
なんだ、俺がいなくなるのがそんなに寂しいのか。
まぁこんなボロボロのおっさんを気にするやつなんかむしろいた方が不思議だ。とりあえず、今日は帰るとするか。
そう思って俺はその場を後にした。