極彩色がまぶたの裏に焼き付く。あまりにも長く幸せな走馬灯の中にいた。
ペンを動かす音は止まらない。なぁ、と声をかけても全く反応がない。
「おい。」
「ん。」
「もう寝ろよ」
「まだ。」
死に急ぐように声を発する。俯いた小麦色の髪がふわふわと揺れる。始末書、いや、…違う。反省文を書く彼女の瞳は、藍にのまれる。
「こんなのでいいのかな。」
「いいんじゃないか?」
「いいよね、」
淡い色から涙が落ちる。そんな涙も拭えない。
「残ったのはこれだけか。」
指環をにぎる。細い指の中には、彼の文学があった。
「後悔はしてないよ。あの場では、あれが優先的だった。」
「あぁ、後から転生しやすい俺と、しにくい露風を、考えるんだったら。」
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