「お兄さん! 大丈夫ですか、ケガは!?」
地面に転がされた俺を、血相を変えて抱え起こしてくれたのはトウコちゃんだった。
呻き声を上げるよりも先に、気絶する前に受けた仕打ちが脳裏を焦がした。
「俺が……俺が弱かったから……」
「お兄さん?」
「タブンネ……ドレディアも、連れて行かれてしまって……」
奴ら、プラズマ団と名乗っていた。
人間からポケモンを解放するって。なんて勝手なんだろう。
ポケモンは人間といては幸せになれない。彼等はカラクサタウンの演説でそんな事を宣っていた。
俺はそうは思わない。だって俺が、俺達が紡いできた全てがその宣い事に対する答えに他ならないのだから。
そんな泣き言も、理不尽の前にはすべてが無力だった。
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