どんな時でも君と一緒が良い「しーんちゃん! 何見てんの?」
二人分の朝食を作り終えた俺が緑間の姿を探して部屋を巡っていたら、緑間は書架で何やら紙を広げていた。
町の端っこに位置するこの家は緑間の家で、外観からしてもうカラクリ屋敷だと判るような佇まい。
壁面に大小様々な歯車。屋根近くには細い煙突が三本くっ付いていて、時折煙を吐き出している。一番特徴的なのは、真四角にドンと地面に建っているのではなく、一般に真っ平らな床が、恐らく緩い弧を描いているのだと判る曲線をしている。まるで湖面を漂う船のような形。もう見るからに不思議な家。
そんな家に二人で住んでいる俺と緑間だから、相方の姿をやっと見付けた俺はゆっくりと彼に近付いた。隣に並んだら、あぁ高尾、と緑間が顔を上げた。
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