鯉月とごはん「今、何と言った」
「ですから」
今夜はお会いできません。何の躊躇いもなく、表情も変えず、月島が言う。いや、少しため息をついたか。しかしそれは会えないことへの憂いを含んだものではなく、何回言わせるのかという気持ちから出たものと推察される。
「なん……」
「いや何回言わせるんですか」
なおも食い下がろうとする鯉登に月島はとうとう呆れた顔を顕にした。諦めきれない鯉登が繰り返し尋ねてはすげなく断られる様に、隣のテーブルから笑い声が聞こえる。見世物ではないのだと睨む鯉登の様子がまたおかしいらしく、けらけらはしゃぐ学生の声はなんとも華やかに食堂に響く。
「あんまり月島のこと困らせんなよ鯉登!」
「貴様らが!月島のことを!呼び捨てるな!」
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