花吐き病 今日の任務をつつがなく終え、灰原と二人食堂へと向かう。任務場所は奥多摩の廃村で、近くは無いが東京都内であり、相手は数だけ多い低級呪霊。難なく祓除がかなったため高専へ戻って報告、風呂を済ませてもまだ18時。ちょうど夕食どきに間に合う事に私も灰原も気分よく足を進めていた。
「あー、お腹空いた! 今日の夕飯何かな?」
「昨日は魚だったから肉料理じゃないか?」
「ハンバーグとかいいなぁ。でも唐揚げも捨て難い」
楽しげに食べたいメニューをたかる灰原に私の頬も自然と緩んだ。食堂の扉が近づくと声が聞こえてくる。灰原もそれに気づいたようだ。
「今日は先輩たちも居るみたいだね」
「珍しく揃ってるみたいだな」
ここのところ任務が立て込んでいたらしく、私たち以上に忙しい特級二人がこの時間に揃っているのは久しぶりだった。僅かに胸が痛み喉の奥に違和感を覚える。私はコホンと咳き込んで足を止めた。
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