ラッキースケベが全然ラッキーじゃなかった件「うぉぉおぉお!?」
曲がり角でぶつかってきた男の人がバランスを崩して、正面から俺の胸に飛び込んできた。
俺の胸に顔が埋まり、空いた手が俺の尻を鷲づかみにする。
ひっと声が出かかったが、〝これだけで済んで良かった〟と思うことにして俺はサッと男から離れた。
「す、すまん…兄ちゃん」
「い、いえ……っ」
男の人が呆然と手をグーパーしてるのを置き去りにして、俺は足早に路地を出る。
狭い道は良くない。
何かあったとき逃げるのが大変だからだ。
かといって、人通りの多い道も危ない。
人が多い分、ハプニングがいろいろ起こりがちだからだ。
早く帰りたい。
宿屋に。
フェルのところに。
「あっ」
「わぁぁ!!!」
背中にドン!と何かがぶつかる感触…と共に背中から伸びてきた手が俺の身体を抱きしめるようにする。
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