個人的アロマテラピー 深夜二時。
丑三つ時と言われる時刻だ。
作業に目処がついたところで、操作していたキーボードから指を離した。
水分の奪われた眼に目薬をひと差し。じわりと染みる。
期末試験が近くなるこの時期の仕事量は膨大なものになる。普通科であれば筆記試験のテスト問題だけを考えればいいのだが、ヒーロー科ではそれに実技試験が加わる。その内容と危機管理体制の見直しなどで、仕事量が一気に増えるのだ。あらかじめ準備をするようにはしているが、それでも持ち帰って作業することが多くなってしまう。何よりも生徒の安全を確保しつつ、実力の上限を判定できる内容にしなくてはならないのだから骨が折れるというものだ。
ふうっと大きく息をついて作業をしていたソファの後方を見やると、寝室のドアが開いたままになっている。
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