星空への梯子七月。タソガレドキ領内の笹は大量に刈り取られる。タソガレドキ恒例の七夕祭りのためである。
忍者隊は城下の祭りに参加する暇などもちろん無いわけだが、立派な竹は敷地内に飾り付けられていて、願い事の短冊を重そうにまとっている。紙なんか貴重品だから、この日のために買っておいた綺麗な紙を使う人もいれば、失敗書類の白い所や薄色の布の切れ端を使っている人もいる。みんな思い思いの願い事を書いている。妙に古びたものもある。誰かお古の褌、使ってないよな。
「尊奈門、お前はもう書いたのか」
「高坂さん。書きましたけどまだ付けてません。高坂さんは?」
「いの一番に、今日のために都合した紙に書いて吊るした。願いは勿論、組頭…」
「想像つくからもういいです」
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