依頼No.001
「お電話ありがとうございます。悪当番です」
対価は金以外で人を殺せる人間を、と電話口に震える声で言ったのはもう遥か遠い過去のように思える。現れたのが紫陽花みたいな淡い髪をしたヒョロイ青年だったのだから、騙されたと思った。
「やぁ、ご指名ありがとう」
感情の無さそうなうすっぺらい笑みを形作った唇からは、やはり感情のない声がこぼれ出てきた。
「さて、先に対価の話をしようか。キミはなにか病気を持っているかい?なんでも構わないよ、性病でも脂肪肝でもね」
小川みたいにさらさらと流れ出てきた言葉の意図が分からず首を傾げた。殺人の対価に何故病気が関わるのだろうか。
「んん?聞いてないのか、僕は殺人の対価に人体のパーツのどれかを貰うことにしていてね。今のブームは病変部位だ」
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