Sway'n in the blueこのサブスタンスに選ばれたと聞いた時、驚きより嬉しさより何より先に思わず笑ってしまったことを今でもガストは覚えている。
「血液検査、遺伝子検査、MRI、PET、脳波等の身体検査、すべてにおいて適合したサブスタンスがこちらです。あなたはこのサブスタンスに見事、選ばれた、と言えるでしょう」
白衣を着た見知らぬ研究員数名に囲まれていた。アカデミーの卒業試験に合格してから数ケ月、エリオスへの入所は目前に迫ってきていた。
「ヴィクはサブスタンスが本当に好きだねぇ~」
「このサブスタンスは特にこの……」
笑ってしまったガストなどまるで目に入っていないかのように目の前で繰り広げられる雑談に慌ててガストは声をあげた。
「それは、喜んでいいことなのか?」
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