二度目まして、こんにちは「……けて……」
(ん?)
よく晴れているから外の方が気分がいいだろうと、人気のない居心地のよさそうな場所を探して庭を歩いていると、微かにひとの声が聞こえた気がして立ち止まる。
「助けてください……!」
「え」
今度ははっきり聞こえた。助けを求める女の声だ。上、しかもかなり遠くの方から聞こえるから驚いた。
「賢者さんか⁈」
訊きながら、目の前の、魔法舎を囲うように生えている木立のどこかにいるんじゃないかと感じ、魔法で箒を出して浮上する。
「ネロ……! ここです! 助けてください……!」
思った通り、木にしがみついている彼女を見つけた。
地上から賢者さんのいる位置まで、軽く十メートルはあるだろう。可哀想に、魔法も使えないからぶるぶる震えて助けを待つことしかできなかったんだ。
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