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    hn314

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    hn314

    PROGRESS太刀川の隣の部屋に住む杉山さん視点の話。このあと防衛任務中の太刀川くんと二宮くんに助けられる杉山さんの話が上手いこといけば5月の新刊に収録されるはずです。
    ⚠️CPは太刀川と二宮の左右なしです。
    第三者視点の話 三門市はのどかで穏やかな街だ。暖かな気候がそうさせるのか朗らかで人のいい県民性で、犯罪発生率は全国でもトップクラスに低い。夜の繁華街を歩いても絡んでくるのはせいぜい不良くらい。反社会的な団体や犯行グループや半グレ的な組織がいる話は聞かなくて、オレオレ詐欺かと思ったら本当にただの間違い電話だった──という笑い話が実際にあるくらいだ(ちなみに俺の母親の実体験だ)。道を歩いていても目にする看板は『警戒区域注意』『優先順位はスマホの通知音より警報音』といったボーダー関連の標語ばかりで、『事故多発』『ひったくり注意』『自転車盗難発生』といった不穏なものは見かけない。だから俺が住んでいる築十二年の木造アパート(1K・一階・洋室八畳・風呂トイレ付き)もオートロックじゃないし監視カメラもついていないが空き巣に入られたことは一度もなくて、鍵をかけずに部屋を出てもなにも盗まれないくらいだ──というのはさすがに俺の実体験ではない。俺の右隣の部屋に住む男子大学生から聞いた話だ。
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    hn314

    PROGRESS特別訓練でくそつよトリオン兵と戦う太刀川と二宮の話(途中)。無事に2月の新刊に収録されてほしいです。
    ※ボーダー幹部をしている20歳組の未来捏造ネタです。
    原稿の進捗 最近入隊したばかりの隊員から加古さんは太刀川さんと二宮さんのどちらとお付き合いしていたんですかって聞かれたのよ。と、加古ちゃんがオレにぼやいたのは同年代飲み会の最中だった。当の太刀川と二宮はふたりで家に帰ったあとで、来馬も呼び出しを受けて鈴鳴支部に戻ったあとで、冷えたつまみとぬるくなった酒のグラスを片手に居酒屋の六人用の席でふたりでサシ飲みをしていたときだ。
    「C級隊員の子たちのあいだで、私と太刀川くんと二宮くんが昔は三角関係だったって噂が流れているみたいなのよねえ」
     向かい合って座る加古ちゃんが内容とはうらはらに他人事のように言う。オレは日本酒を飲みながらおもわずうめいた。予想していたより酒が強かったからじゃなくて、つい最近オレも訓練のあとに隊員から聞かれていたからだ。ただそのとき質問されたのは「加古さんの手料理を取り合って堤さんたちが喧嘩したって噂は本当なんですか?」という、元ネタに尾鰭背びれがついて羽まで生えたようなものだったのだが。もちろん加古ちゃんはオレたちの中の誰とも付き合ったことがないし、誰かと三角関係になったこともないし、手料理──たぶんチャーハンだろう──を避けるために争った記憶はあれど奪い合ったこともない。根も葉もない噂だが、こういった話が広まる理由はオレにも想像がついた。三十手前のオレたちとは違ってまだ十代の隊員は恋愛話に興味があるだろうし、なにより加古ちゃんも太刀川も二宮も目立つのだ。
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    hn314

    DONE恋愛ゲームが上手い太刀川とこれから攻略される二宮の話※左右なしです。
    誕生日おめでとう話 つぎのデートの行き先を水族館にするか遊園地にするか買い物にするかで迷う。手堅いのは水族館だし、この前行ったときにも喜んでくれた場所だが、もう四回目のデートだからそろそろ違うとこにした方がいい気がするんだよな。いつもおなじとこばっか行ってるとマンネリってやつになるし。でも賑やかな場所は好きじゃなさそうだし、遊園地は避けといた方が無難だろう。そういやもうすぐ誕生日だから、プレゼントの下見も兼ねて買い物に誘ってみるのもアリかもしれない。意外と服装に気を使うタイプだし。よし。今回は買い物を選んでみるか。
     俺がポチポチとボタンを操作して『ショッピング』の選択肢を選ぶと、予想は当たったみたいで『そうね。私も欲しい服があるし』とセリフが出て画面いっぱいにハートマークが飛んだ。主人公のパラメーターを最大まで上げないと出会えないキャラだし、やっと会えてからも会話できるようになるまで時間がかかったが、攻略ルートに入ってからは結構好感度が上がりやすい。ツンデレ? じゃない、クーデレ? が売りのキャラだって国近も言っていたし、ガードの硬さからのデレが魅力なんだろう。この調子でいけば来週の誕生日には告白できそうだな。
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    hn314

    DONE太刀川の男友達視点の話。ベタなやつです※太刀川と二宮の左右なし。
    第三者視点の話「──太刀川、おまえ恋人が出来たのか?」
     オレがカレーを食べていた手を止めてたずねると、向かいの席に座る太刀川がうどんを啜っていた顔をあげた。その拍子にさっきまで見えていた“それ”が髪に隠れて、心の中でほっと安心する。太刀川はゆるいし抜けたところが目立つ奴だけど、けしてデリカシーに欠けるわけじゃない。知っていたらなんらかの対策をして大学に来るはずだ。だから本人が気づいていないからこそ、いまオレたちがいるここ──空席が見当たらないくらい混雑している昼休みの食堂で。いくら隅にあるふたり用の席に座っているとはいえ、近くを通りかかった他の学生に会話が聞かれる可能性があるなか、デリケートな話題をどう指摘したものか悩んでいたから助かった。この場に堤がいたらオレの代わりに上手い言い方を見つけてくれたのかもしれないが。そうオレが高校時代からの友人の顔を思い浮かべていると、おなじく高校時代からの友人の太刀川が「お、よくわかったな」とめずらしく驚いたように言う。「まだ話してなかったはずだが」と聞かれて、「なんとなく察したんだよ」と誤魔化した。察した理由はさすがに口には出来なかった。
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