忘れかけた、美しくおぞましいもの 長い冬が終わり、水が清らかに流れ、木々の芽が柔らかく綻び、花々が咲き始める頃だった。
柔らかい日射しが、世界に降り注いでいた。
少女は、柔らかく短い草が生い茂る丘の一番上に座っていた。
何故こんな所にいるのか、自分でもわからなかった。
先ほどまで屋敷にいて、何かをしていたような気がする。何をしていたのかは、覚えていない。
Schwarz perle(シュバルツ・ペルレ)は気づいたら草の上に座っていた。
ふと、ほんの一瞬だけ感じ取った感覚。
草に触れている足や手から伝わってきたのは、地面が波打っているような感じだった。
まるで呼吸をするように、又は、大地が溜息をついたように。
ペルレは思わず手を地面から離し、膝に置いた。
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