背中痛い「主様」
「いっったぁ!?」
ラトが私の背中をつつく。刹那、熱の塊を押し付けられたような痛みが走った。涙目になりながら振り向けば、ラトは目を三日月の形に細めていた。
「おや?すみません。傷が出来ていたので教えて差し上げようかと思ったのですが」
それにしたって、もう少しやり方と力加減があるだろう。でもきっとラトに言っても上手く伝わらないだろうから諦めた。
「そういえば今日ぶつけたわ…」
痣にはなっているだろうとは思ったが、まさか傷にまでなっているとは思わなかった。
「痛みますか?」
「つつかれると痛いけど、普段はそうでも」
「そうですか」
ほんの少しの嫌味を混ぜたが、ラトは気づいているのかいないのか華麗なまでにスルーを決め込んだ。
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