出奔魔術師の旅日記5 迷宮都市ミゴン・アルシペル5 迷宮都市ミゴン・アルシペル
検問を越えて街中に入るとそこは活気に満ち溢れていた。
数え切れないほどの人が行き来し、路上に開かれた露天からは客引きの声が飛ぶ。行き交う人々の半分は何かしら武器を携えているか魔術師といった出立ちでいかにも冒険者の街といった様子だ。
事前にブルーノから聞いた話によるとミゴン・アルシペルは街の中心に巨大なダンジョン「ノホ・カウム」が口を開けており、それを起点に円を描くように広がった街らしい。通りを挟んで建物の円環が重なり、更に中心から放射線状に八箇所、それぞれ市壁に作られた門に向かって大通りが伸びている。市壁の上から見ればまるで放射線上に切り込みを入れた木の年輪や蜘蛛の巣のような形をしているのだという。
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