【★文章】大ヒス/二人だけの解読表 金剛が喫煙スペースを覗くと、そこにはヒースの姿があった。珍しく喫煙者たちの影はない。ベンチに深く腰掛けて難しい顔をしているチームメイトに声をかける。
「お疲れ。どうしたんだ」
「お疲れ……ん、これ分かんなくて」
ヒースは手に握っていたスマホの画面を金剛に見せた。画面にはメッセージアプリのチャットページが映っている。対話の相手は大牙で、最新のメッセージは数字の羅列だ。
「なんだこれ」
「たぶん、暗号。たまにこういうのくる」
「……俺に見せていいやつ?」
金剛は少し困った表情でヒースを見た。ヒースと大牙が付き合っているということを知っている数少ない一人として、暗号を解いて睦言が出てくるのではと気を利かせたのだ。
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