鍋と情はあついに限る ピンポーン♪
頼んだ通販の宅配も、来客予定も無いはずのチャイムが軽快に鳴らされる。
「こんな寒い日に……なんだろ」
部屋の住人は、やや怪訝に顔を顰めてモゾモゾと動き出す。
今日の天気予報が告げた最高気温は五度にも満たない。どの時間帯も曇りを予報されており、こういう日は部屋に引きこもるに限ると決め込んで、昼過ぎてもなお、布団のお供にモバイル端末のゲームを楽しんでいる最中だった。
うー、さむっ。モバイル端末を寝具の端に置き、仕方無く玄関へと向かう。部屋着の少しよれたスウェット姿だが、まあ構わないだろう。やや待たせてしまった、扉の向こうにいるチャイムを鳴らした客人へと声をかけた。
「はいはーい、どちら様でしょ、」
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