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    sirasu810

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    sirasu810

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    お題箱:トラオムの登場人物/最近新しく引いたサーヴァント より冒険者の王さま+見えないぐだとモーさん

    るいはともを「真名シャルルマーニュ、クラスはセイバー! もっとメジャーな名前があるにはあるが……そっちは別口ってことでよろしく!」
     あたりがぱっと明るくなるような快活さで、シャルルマーニュが名乗った。そして彼は他のサーヴァントたちが召喚されたときにもそうだったように「おや」と思いながらマスターを見やった。マスターは俯いているわけではないのに、視線が噛み合わない。
    「はじめまして、シャルルマーニュ」
     すっと差し出された手をシャルルマーニュが取り、軽く握った。武器を使わない者の手のひらだとはすぐに分かったが、妙な位置に固いたこがある。これは後に、いつも使っている杖によるものだと分かることになる。
    「藤丸立香といいます。もしかして、敬虔なるかのMugnus大帝でいらっしゃる?」
     首を傾げながら問われ、シャルルマーニュは少々ばつが悪そうに頬をかいた。
    「ん、まぁ、それはそれ、俺は俺ってな」
    「『皇帝の石』をお持ちになるよりもっと前のお若い方? もしくは別側面?」
    「うーん、キッパリハッキリしなくて申し訳ないが、俺はあれだ、緊急召喚みたいな感じでな。アンタの知っているカール大帝とは無関係だとは言わないが、別物だと思ってくれ」
    「なるほど、承知しました」
     こくりと頷いた顎が元の位置に戻るころ、立香の水色の瞳は「用は済んだ」とばかりに向こう側へと帰ってしまった。小ぶりな顔の中におさまる閉じた瞼の先に、黒睫毛だけが行儀よく並んでいる。シャルルマーニュはきれいな色が隠れてもったいないと思ったが、口には出さなかった。
    「モードレッド、同じセイバーの方ですよ。仲良くするように」
     立香に付き添っていた騎士は「へーへー」と投げやりに答える。
    「モードレッドって、円卓の騎士のモードレッド卿か?」
    「んだよ」
    「最も果敢と言われた騎士殿じゃないか! 会えて光栄だ。肩を並べて戦える日を楽しみにしてるぜ」
    「……おいマスター、こいつ、なんか合わねぇ」
    「えっ」
    「だめですよ、モードレッド。自分にはない社交性と潑剌はつらつとした爽やかさをお持ちの王様だからって、ひがんではいけません」
     立香がぴしゃりと嗜めると、モードレッドは顔をしかめながら舌を出した。
    「ベロ出さない」
     めしいているらしいのに、モードレッドは後ろに立っていたというのに、まるで見えているかのように事実を言い当ててみせる。シャルルマーニュは少しばかり驚きながらもマスターの勘のよさに感心し、再びにっと明るく笑った。
    「ともあれ、これからよろしくな。マスター、モードレッド卿」
    「こちらこそ。ええと、何とお呼びしましょうか。カルデアには王様が複数名いらっしゃるんです」
    「好きに呼んでくれて構わないぜ、シャルルでも何でも」
    「ありがとうございます。ではシャルル、まずは霊基の確認をしてから、出来うる範囲での強化をかけますね。それから——」
     召喚早々だというのに、やるべきことが細々とたくさん挙げられていった。カルデアとは慌ただしい場所のようだ。まるで『かつてのどこか』のよう。ふんふんと聞き入っていると、
    「——最後に、あなたのマスターはご覧の通り・・・・・性質たちです。杖やレンズがあれば生活には事足りますが、力を借りることも多くあると思います」
     立香がついでのように言い添えた。
    「おう。マスターとサーヴァントは一蓮托生、俺にできることがあればどんなことでも言ってくれ、力になる」
     応じると、立香がぴたりと黙ってしまった。シャルルマーニュは変な言い回しをしてしまったかと心配した。「どんなことでも」とはさすがに言い過ぎだっただろうか、不快にさせたか? 言葉を継げずにいると、
    「ああ、すみません、感動してしまって」
     気まずい空気を察知して、立香がパタパタと手を振った。
    「うん?」
    「さすが大帝と称されるお方です。ね、モードレッド。会ってすぐに人の事を〈そんなん〉呼ばわりしていたどこかの騎士さまとは、まるで大違いですよね」
    「うるせェ」
    「シャルルの声には思い遣りがあります。明るくて爽やかで、くっきりとした芯がある。頼りになるサーヴァントが来てくださったのだと分かって嬉しい限りです。けれど助けてもらうばかりだと落ち着きませんから、シャルルもおれにして欲しいことがあれば、ぜひ申し付けてくださいね」
    「うん、持ちつ持たれつやっていこうぜ」
    「懐深いなぁ。モードレッド、しかめ面しない。ところで、シャルルにひげはあるんですか?」
    「んん?」
    「あなたの出典が『ローランの歌』なら、そうなのかなって」
    「もしかして、ローラン、いる?」
    「いいえ、残念ながら。でもフランス最古の叙事詩に語られるほどの方ですから、サーヴァントとしての彼にお会いすることもあるかも知れません。『——ああ、デュランダル、きデュランダルよ、憐れみたまえ! あなたのおかげで数多の戦いに勝利し、広大な土地を征服した。それは白き顎髭あごひげを生やすカール大帝の手中にあるのだ!』」
    「ははっ、なるほど。だけど俺は髭なしの方だ」
    「そっかあ」
    「ダメだったか?」
    「まさか。ただ、カルデアにいらっしゃる王様たちって、みなさん髭なしなんですよねぇ」
     やや物足りなさそうに呟いて、立香がとことこと歩き出す。霊基強化のための設備を整えてある部屋まで先導するつもりらしい。立香の後ろにシャルルマーニュが続き、さらに後ろにモードレッドが続いて呟く。
    「黒犬が二匹……」
    「なんだ?」
    「どうしました?」
    「邪魔なんだよ、さっさと歩け」
    「態度ばかりかお行儀まで悪いですよ、モードレッド」
     立香に咎められた騎士は、ちょうど足を蹴り出そうとしているところだった。
    「すみませんシャルル。こんなに雑で乱暴な人ですけど、信頼に足るおれの騎士なんです」
    「いい関係なんだな」
    「ええ、相棒ですので」
     自慢げな声だった。
    「二人がどんな旅をしてきたのか、ぜひとも聞きたいもんだ」
    「もちろんお話します。だけどシャルルにも冒険譚はたくさんあるでしょう、おれにも聞かせてくださいね」
     かつ、かつ、と杖音のきれがいい。マスターは上機嫌なのだ。モードレッドだけは変わり映えがしないようでいてそうでもない打音の聞き分けができるようになっていた。すました顔で先を歩いているのだろう立香は「新たに来てくれたサーヴァントはセイバーで、しかも王様で、おまけに人柄までよさそう。これはモードレッドの良いお手本になりますね」などと、勝手に失礼極まりないことを考えているに違いない。
     しかしこの不愉快をそのまま口に出して噛みつくのは上策ではない。口達者で生意気で、わりに好戦的でもあるマスターが弁を立ててくるばかりになるだろうから。
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    sirasu810

    DOODLEキャギぐ♂『-続- あいみしゆえに』の続編の序盤かも知れないもの。明けましておめでとうございます。
    はなにもきみは ありこせぬかも「目ぇチカチカするわ……」
     真白い肌をくすませながら酒呑しゅてんが呟く。テーブルの上にはきっちりと形が整えられているように見える・・・・・・握り飯が数個残っていた。細い指で一つ摘まみ上げ、小ぶりな唇ではくりと頬張る。噛みにつられて首が揺れる。
     外の気温がぐんと冷え込む深夜。疲労の溜まった従業員たちの意識は朦朧もうろうとしていた。下町の呉服店は年の瀬から成人の日を越えるまで何かと忙しない日々が続く。握り飯の向こうには立香の姉と徐福が突っ伏しており、店を閉めた後に戻ってきた鶴は試着場の畳の上で横になっている。
     昼前にギルガメッシュがやって来たのは年始の挨拶、もとい立香の顔を見るためだったが、気がつけば台所へ引っ張り込まれていた。猫の手も借りたいところに現れてしまったため、目玉を爛々らんらんと光らせた徐福に「おにぎりくらい作れますよね⁉︎」と詰め寄られ、しゃもじを掴まされていたのだった。息をつく暇もない従業員たちがぱっとエネルギーを補給できるよう、作り置きのおかずと合わせておにぎりをこしらえるべし、と言い付けられたが、そのタスクを終えても来客用の茶を運ばされる羽目になった。立香は外での仕事のため不在だったし、本来ならば茶を出すべき相手に対して申し訳ないと、姉は謝罪を繰り返していたが、茶葉や注ぐ湯の量については控えめに指導された。
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