さかしまに世界へ爪立てる者――どんなに
――醜くて つまらなくて
――どうしようもなく…… ちっぽけな この世界であっても……
――ここは
――俺と お前が 出会った せかい だから……
――だ から どうか
―― まも って……
「…………!!!」
声にならない叫びが空気を揺らして、シャアは恐ろしい速さで鳴り響く心臓の鼓動を感じ取りながら目を開く。
全身から吹き出す冷や汗の冷たさ、浅く早く短い吐息が何度も耳を響かせる音で、今までのすべてが夢であることを確認する。
まただ、と。
煩わしさを拭うように、上体を起こして額を拭う。
何度も何度もこれまで見てきた悪夢を、また、今日も見た。
「……折れろと言わんばかりに……忌々しい」
心底。
悪夢に忌々しいと舌打ちして、シャアは心臓の鼓動に落ち着けと命令を下す。
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