忘れない味いろいろな書類や服が乱雑に置かれている、けして綺麗とは言えない部屋のテーブルに置かれた白くて小さな箱は異彩を放っていた。
僅かに香ってくるのはロキが好きな「甘いもの」の匂いだった。
毎朝の日課になっているボイトレを終えた後、マネージャーが用事があるからと出かけ帰ってきたのはもう日が暮れかけた頃だった。
どこに行ったのかと聞くロキに渡されたのが件の箱だ。
着替えを覚ませラフな格好になったマネージャーが箱の上部を開けると三角の何かが二つ入っている。
物体は白いものに覆われていて上には木の実・・・イチゴがひとつ乗っていた。
「ほんとはホールにしたかったんだけど・・・意外と高くてさ〜・・・」
隙間には折った紙が差し込まれており、運搬の際に寄ったり潰れてしまわないようになっているらしい。
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