20××年2月3日某所にてとびきり冷えるな、そういえば今日は今年一番冷えるから早く帰って来てねと美々子と菜々子に言われたな。2人が心配しているだろうから早く帰らないといけない。
考え事しながら足早に歩いていると懐かしい気配を感じた。
「そこにいるのは分かっているよ。出てきたらどうだい?」
立ち止まり、後ろを見ずに声をかける。
だが背後の人物が現れる気配がない。
からかっているのか…?と訝しんでいると目の前に突然顔面いっぱいに一面の青が広がった。
とても良い香りがする、どうやらこの青は薔薇のようだ。
「やあ久しぶり。元気してた?教祖様」
薔薇の花束から声がする。━━━いや、花束を持った黒い男が喋っている。
「お祝いの品、届けに来たよ」
「何かと思ったら…日付が変わってすぐに送られて来たメールも君かい?誰かと思ったよ」
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