Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    蓬餅々

    書いた文章をあげるだけ
    楽しく書けました!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Gift Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    蓬餅々

    ☆quiet follow

    朗報!不穏です!!やったね!!!
    子作りに失敗してる玖エイです!!!!

    書きたいところだけ書いた玖エイ気持ちが悪い。これは胃や食道、喉の奥から警告を鳴らしてせりあがってくるような『吐く』ことで解決するものではない。胃よりも下、理科の教科書で見たぐにゃぐにゃ曲がったりぼこぼこした形の腸のあたり。食あたりも病気の気配も無かったのに『ソレ』突然現れた。

    最初に気がついたのは屋敷内でみんなと談笑している時。昨日は寝るのが少し遅かったから、運動とかしてないかも、とありきたりな原因を上げていき「気をつけてね」の言葉で閉められた。
    それから日に当てられた廊下に出て明日以降のスケジュールを頭に貼り出した瞬間。ソレが、違和感が自分の意思とは別のものであると主張してくる。深呼吸しても目を閉じても気を紛らわせようと思考を捻らせても、意識が腹の中がグルグル掻き乱されていく感覚は抜けない。
    なんとか意地で足を動かし自室に戻る。まだ高い日が射し込む窓のカーテンを閉め、薄暗くなった自室に踞った。

    それから何分経っただろうか。何時間か経ってしまっただろうか。カーテンを閉めきっていたから今が何時なのかわからない。屋敷内の誰かに体調不良だと伝えれば解決するのか?医者にでもかかれば解決するのか?なんとなく本能が「それでは解決しない」「そういう話じゃない」と異議を唱えてくる。
    ああ、誰か助けてくれ。腹の中に違和感を放つ『ソレ』をどうにかしてくれ。説明もつかない『ソレ』はまだ活発に動いている。悲しいのと怖いので膝と上着の袖が水分を含み始めて肌が冷たくなってきた。
    ちぐはぐに組んだ手足の隙間から薄暗い部屋よりも濃い色の靴先が見えて誰か来たのかと顔を上げる。

    いつからいたのか、ノックの音も聞こえないくらい泣きじゃくっていたか。こちらが気づいて見上げるのを待っていたように見下ろす二色の瞳は何かを知っているのではないか。嗚咽を吐き出してばかりいた喉が機能せず、音になったかもわからないまま彼の名前を呼ぶ。
    呼ばれた玖夜は片膝を着き一瞥した後「酷い顔してますね」と呟いて肩を押した。背骨は体を支える仕事を忘れて床に敷かれたカーペットの感触が埋まっていく。突然後ろへ倒されたことに文句を垂れる気は更々なくて鼻を啜ればクスクスと笑う声が聞こえた。

    コロコロと機嫌良く笑っていたのをやめ、腹を撫でられる。さっきから違和感のある『ソレ』がぐるりと反応をみせたのが内臓越しに伝わって無意識で眉間に皺が寄った。それを見た玖夜は着ていた服を勝手に鳩尾まで上げ、今さっき触れた腹部に耳を澄ませる。
    「あっ、これは駄目なやつですね……」と小さな呟きに理解ができなくて「なんで?」「どうして?」「なにがだめなんだ?」と尋ねても返答はない。起き上がろうとしても力が入らず上手く動けない。腹の『ソレ』と玖夜の言動がわからくて目尻にはもうない筈の涙が溢れていくのを止められずにいる。エイトさん、と呼ばれて視線だけ上を向ければ手の平で視界を遮られ「少し痛いですが……我慢できますよね?」「次は失敗しないので」と『ソレ』が居る上の皮膚にもう片方の手の爪が立てられた気がした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works