十日間限定、番ごっこ唸り声が聞こえてくるのでまたかぁ、なんて思いながら、作業を一度止めて振り向く。ソファーの上で作りかけの着ぐるみの頭を抱きしめながら唸る司君の声のせいで集中できないとか、そういうことは全くない。いやむしろ、この唸り声が聞こえてきたということは休憩の時間だろう。
「どうしたんだい?あんまり唸ると喉に障るよ」
「あぁ……、そうだな、すまない」
僕がそういうと、彼は唸るのをやめて謝る。まぁ謝罪が欲しいわけではないから気にしないでと言うように手を振って彼の方へ体を寄せた。恐らくいつものアレだろうと思うんだけど、それを言ったら臍を曲げそうだなぁ、と思って彼が話してくれる気になるまで待つことにする。無理矢理聞き出しても怒るか落ち込むか、どちらにしても彼のフォローは必要になるだろうな、なんて。
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