Melty night and cat鏡に映る自分を見て、ため息をついた。
左肩と胸の刺青も、昔と何も変わっていない。
こめかみに銃口をあてて脳天を貫いたというのに、死ぬ前と同じ姿が映っている。
今の風呂も、食事も睡眠も、生前と大差ない生活だ。
別の世界で人生の続きがあるなんて、本当に変な話だと思う。
現界の人間にこれを予想できた人間がどれだけいるだろう。
そんなことを考えながら、備え付けのタオルで髪を拭いて着替える。
だが、明らかに足りない。
傍にかけておいたコートがなくなっている。
「あいつか……」
犯人は一人しかいないだろう。
それ以外はありえない。
今まで様々なホテルに泊まってきたが、ここは綺麗なほうだ。
彼女は「あなたと一緒にいられるなら狭くてもいい」と言っていたが、今日は広めの部屋を取った。
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