序章『熊と鷹と狼に狙われた猫』 ヒーロー公安委員会のオフィスで、今僕は思考回路をショートさせかけていた。
「えーっと…啓悟、もう一回言ってくれる?」
「うん、だからさ、」
『俺らと同居せん?』と啓悟は一言一句同じことを言ってのけた。なぜこうなった?俺『ら』とは?
脳内でグルグルと思考が巡る。目の前に立っている僕の弟が心配そうな視線を向けているが、今の僕の目には1ミリも写らない。
「お姉ちゃん?大丈夫?」
「……うん、ちょっと待って…何で同居?」
「だってお姉ちゃんがメシ適当にしちゃう理由って、自分の分だけ作るのが面倒臭かけんやろ?なら誰かと一緒に暮らせば相手ん分も作らないかんくなるけん、面倒臭くならんのやなか?」
「う…まぁ、確かに…」
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