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    a_la_do

    荒堂です。
    pkmn擬人化と創作の民。
    現在、まほやくフィーバー期。
    みんなだいすき。若干、西師弟贔屓。

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    POIPOI 202

    a_la_do

    DONE2021 うちよそバレンタイン
    Variations−Chatons et papillons

    ラズルーカと白雪くんと、それを見守る一人の編集者の話

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    consacrer au sort d’une journée enneigée

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    子猫と蝶のヴァリアシオン


    「と、言うわけで、こちらが完成したお品でございます」

    小さな白い紙袋を両手でうやうやしく差し出しながら、ラズの向かいに座った男は頭を垂れた。
    作家先生ご自宅のリビング、十四時半、打ち合わせ。
    作家先生、こと、ラズルーカはただでさえ寄り気味の眉根をぐっと近づけて不快感をあらわにした。

    「そういう茶番は要らない」

    本を渡すくらい普通にやれ、と、差し出された紙袋をぱっと奪い取る。男は、空中に浮いたまま所在なくなった手をにぎにぎと開け閉じしながら、さも悲しげな様子でため息をついた。

    「つれないなぁ、ラズ先生は」
    「シリュウは喧しい」

    シリュウ、と呼ばれた青年は、心外だと言わんばかりに片眉をひょいとあげ、先生ひどい、と文句を垂れる。が、ラズは知らん顔だ。聞こえていないのか聞こえていないことにしているのか、不機嫌そうな顔のまま紙袋の中身を検めはじめる。
    紙袋の中身は小さな絵本だ。ラズはその一ページずつを、端々までを丁寧に目を通していく。
    まったく相手にされないだけでなく、真面目に仕事を始めてしまった作家先生を前に、シリュウはやれやれとため息をついた。

    ラズ 6285

    a_la_do

    DONEhoney drop,melty time
    ヴァーレインとアリエスくんの話

    -.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-
    honey drop,melty time

    手元の書類を読み終えると、ヴァーレインは小さくふうと息をついた。探し物屋に依頼していた調査に関する中間報告書だ、難しい内容ではない。……ではないのだが、読み終えるまでは、いつも少し緊張をしてしまう。

    依頼したのは死んだ母親の形見。大きなアンティークのブローチだ。随分昔に手を離れ、それきり行方がわからない。手がかりは小さな写真一枚きり。金属細工の中央に埋め込まれた、まばゆく大きな石。それが高価なものなのか、それとも量産品のありふれたものなのか、それすらもわからない。
    そんなものをあてもなく探すことが、途方もないことである自覚は持っていた。目新しい報告があがることもそうあることではない、知っている。
    しかし、それは落胆や失望といった類とは違う感情だった。
    どこか予定調和的な、それでいて裏切られることを望むような期待感。夜空を見上げた瞬間に目の前を未知の飛行物体が横切ることを期待するような、他人が聞いたら笑ってしまうかもしれない、でも切実で純粋な幼い願いにも似ている。

    「よみおわった?」

    隣に座る少年は、ケーキを口に運びながらレイの様子を覗 4213

    a_la_do

    DONEGRATE×GREED×CHOCOLATE
    リュリュのはなし




    一日ひとつ、浮世の楽しみを形にしよう。

    心がきらめくような喜びを、
    遠く夢みた憧れを。

    小さき命の愛らしさを、
    垣根の下に咲いた日陰の花のいじらしさを。


    ──なあ、悪魔よ。
    我はまだ「人」のフリをして、最期まで足掻きたいのだよ。
    ──────────────────────────────────────────────
    GRATE×GREED×CHOCOLATE

    「やはり、一日ひとつが限界かの」
    生まれたばかりの小さな星型のチョコレートを手のひらに転がし、リュリュは深く溜息をついた。錬成に集中したせいか、頭の深部が銀色の靄でもかかったかのように、重く、鈍く、痛む。眉間に寄った皺を親指でぐいぐいと伸ばす。それから、その小さな体躯の隅々まで行き渡らせるかのように、ゆっくり、大きく息を吸い込んだ。

    リュリュには、かつて大魔術師と呼ばれた時代があった。

    この界隈でいう魔術師の強さとは、必ずしも物理的な破壊力や影響力を指さない。襲い掛かる敵を薙ぎ払ったり、巨大な建物を倒壊させたりすることができたとしても、それはただ、発動した術のおこした結果にすぎない。ここの……菩提樹の術者と呼ばれる連中は、どちらかといえばそれらを起こすプロセスの方に強く注目し、評価した。リュリュが得意とする術式は、感情、記憶、因果……そういった目に見えぬものの理を解き、変質させ、事象を引き起こす。そういう類のものだった。
    悪意を呪いに。願望を幻覚に。物質に思いを結びつけ、別のカタチに。
    柔軟かつ汎用性のきく術式、発動した事象の影響力、そ 4974