星をみたひと宇宙人とはいっても生き物である以上、幼少期というものは存在する。
ついこの間、ノーヴァは他の仲間とアルバムを持ち寄って幼少期の思いで語りをした。
ああ君は小さい頃からこんな青い肌していたんだな、とか、昔はおもちゃのピアノしか弾けなかったんだよ、とか。そんな他愛ない会話だった。
そんななか、カノープスだけは皆の会話に相槌をうつのみで、自身の幼少期について語ろうとはしなかったのだ。
カノプさんはアルバムないの?と訪ねたら、忘れちゃいました、と彼は返した。
ノーヴァはそれを訝しげにみていた。
それからしばらくして、ノーヴァはカノープスと二人で犬を囲いながら話をしていた。
そのときも彼は、ノーヴァの話を楽しそうに聞いているだけだった。
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