冷たい誕生日『明日、お前の誕生日だろ。時間空けとけよ』
そう、兄さんからメールが来たのは俺が眠りにつく前のことだった。
驚きと嬉しさでスマホを掴み直して返信しようとしたところで我に返る。
俺には誕生日を祝ってもらう資格なんかないだろ……。
それでも……嬉しいと思ってしまう自分がいる。
罪悪感に押しつぶされそうになる。
でも、どうしても期待してしまうのだ。
許されるなら、また昔みたいにいられたらなんて思ってしまう。
そんなこと許されるはずがないのに。
……けれど。
『わかった』
やっとのことでそれだけ返事をした。
スマホを放り投げるように手放し、布団を被り直した。
誕生日当日は落ち着かなかった。
兄さんに会えるのは嬉しい、けれど誕生日を祝われることにどうしても引け目を感じてしまう。
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