瀬木の日常 だらりと縁側で柱にしなだれる。空は変わらず青く染まり、太陽を讃えている。日差しの眩しさに目を細める。訪ね人も来ず、悪戯に時間を過ごしてしまう。
「ひまだなあ」
思わず声に出たことで、自覚が押し寄せてくる。
こういう時は何をしていただろうか。少し遠くで行き交う人――形容するならば「住人」の方が正しいだろうか――を眺めながら何をしようか思考を巡らせる。
ここでの生活は如何せん時間がすぎるのが遅い。自ら何かすることを作らなければ空を見るか、噂話に耳を傾けるくらいだろう。この番地に住まうモノたちは各々時間をつぶす事を見つけているらしく、見た目にしても賑やかである。庭が充実している家や、自らを着飾るもの。
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