バーゲンマンバーゲンマン

(今日の夕飯はなににしようか迷うね…)
珍しくそう思う僕を見て僕らしくもないと笑う人間もいるかもしれないが理由を聞けばあぁ…となるかもしれないので先に理由を話そう
今日はいつも通っているスーパーが年に４回…つまり季節の始まりにしかしない大特価セールをするのだ
これだけで説明に事足りるだろうがもうひとつ付け加えると今日はいつも荷物やカートを自ら率先して引いている影片が校内のドリフェスに関係したアルバイトで18時まで帰れない
そして影片がいないことで必然的にというかまぁこれが当たり前なのだが僕一人で全てこなさなければならない
そうなるといつも人気商品の前でよく起きるあのおぞましい戦いをカートを持ちながらしなければならなくなり大変痛手である　なによりあの血気迫った主婦たちにアイドルとはいえ高校生で尚且つ他の者より人混みが苦手な僕にとっては苦痛でじゃあそもそも戦いに参加しなければいい

クレーンゲーム「影片今だよ！ほらはやく押すんだ、」
「ん～！！」
空振り
「ねぇ影片真面目にやってるかい？」
「いや真面目にやっとるで…！？」
「だったらなぜたかだかクレーンゲームで5000円を越えるんだ」　
「アームが弱いんかな」
おれはあははと笑う　そんなおれの様子を見て肩をすごめたお師さんは目の前の捕まったぬいぐるみに目をやり
「しかし…まぁ…君の言い分も一理あるね…さっきから全くアームが動いてないのだし」
「せやろ？やっぱここはハズレやない？」
「むむ…ハズレだとかあまり公共の場では言ってはいけないよ影片」
おれを注意する様は父親やら母親やらを彷彿とさせてなんだか笑えてくる
まぁ大の20代後半の男が2人でたかだかクレーンゲームに文句やらなんやら言ってる方がおかしいのだが