クラウザー少佐が生きていた。
にわかに信じ難い報告に、レオン・S・ケネディは一瞬言葉を失った。
あの時自分が彼の命を奪ったはず。
あの時、確かに彼は事切れたはず。
3度ほど瞬きをして、レザーのジャケットを羽織る。足先は報告を受けた彼の居場所とは、真逆の方向へ向かっていた。
*
翌日の夜、一通りの確認を終え、ハニガンに教えられた病院の廊下を歩いていた。この病院が纏っている空気は重く苦しい。あちらこちらでうめき声がする。精神を病んだ者の声が多い。おおよそ普通ではないことは、誰が見ても明らかだ。
一般的な病棟とは明らかに雰囲気が違う。それもその筈、ここに詰め込まれた患者たちは、社会から全うな扱いを受けることを拒絶された者達だからだ。
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