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    ParAI_t

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    ParAI_t

    MOURNING11月のカレンダー没案です。
    クリスタニア編でリーン様が不穏なこと言ってた印象が濃い辺りの頃に書いたので、今思うと「とにかく無事に終われ!?」みたいなノリをひしひしと感じる←
    アプリ版だと第一部のラクリモッサでしばらく三柱でお茶会してないみたいな話があったので、こんな風な日常に戻ってたらいいよねぇみたいな願いを込めてます。
    いやぁ、今週のクリスタニア編も楽しみですね☺️
    11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
    季節になったんですねー、としみじみとして
    サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
     本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
    鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
    外気での冷却も計算に入れてあるから、
    ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
    なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
    と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
    空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
    これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
    とサシャはゆるりと目を細める。
    「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
    「年の変わり目も近いですからねー。魔道
    交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
     そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
    358

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    DONEドロライ参加作品です。お題は「いい夫婦の日」。
    モブ秘書がクロアス夫婦+子供を観察してる謎の話になります。需要は私にある(澄んだ瞳)
    キャラスト3話で父さん母さん呼びしてたのに、なんか今は父上母上呼びしてるから、つまり結婚後はこんなんじゃない?みたいなノリで書きました。
    いずれ職場で「パパは〜」とか言っちゃう話も書きたい。結婚後でなくても天惺獣関係ならスレイヤー全員やらかせる余地はあるしな…!←
    困惑メラビアン−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−































     どうも直属の上司は厳しい人柄、らしい。風の噂でそんな評判を聞きつけて、グランロット王国宮廷魔道士長、クロービス・ノア付となった新任秘書は、緊張に身を固くして部屋の扉を叩いていた。出迎えた予想と違わぬ鋭い眼光に気圧されつつも、準備をしていた甲斐もあり用件は滞りなく進んでいく。
     魔王との長きにわたる戦いを終えたグランスレイヤーともなればこの威厳も当然か。多方面に渡る業務内容を迅速かつ正確無比にこなしていく姿に、秘書は自分なりに答えを得て、一礼し退出しようとする。そうして顔を上げた刹那、廊下からかすかに幼子の声が聞こえてきた。
    1708

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    DONE※いつも以上に原作の行間にクロアスをねじ込んでいます
    ※※特に本筋ではないのですが、若干ガレル・パレル編のネタバレを含みます

    オトメ勇者初恋Webアンソロジー寄稿作品になります
    ほぼほぼ謎の青年C(AとBがないのが作為的とか言わない)が活躍しているクロアス(?)な雰囲気ですが、お楽しみいただければ幸いです
    今週のクリスタニア編と矛盾しないといいなあ…(直し入るとめんどいなという顔)
    キャンディタフトは甘やかに揺れる / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
















     その名の通りに飴で出来ているかのように、小さな白い花は甘く香っていた。

    「クロービスさん。頼まれてたもの持ってきましたけど、どこに置いておきますか?」
    「ああ、机に空きがあるだろう。そこに頼む」
    「はーい」

     年代物の深緑の図鑑から目を上げ指示を出したクロービスは、すぐに意識を机に戻すとリストへチェックを入れる。本日この時間のクロービスの業務は、実験室での魔法薬の調合だった。王城に併設された植物園から運んできた花の色と香りに、何かを思い出したアステルはなんの気なしに口にする。
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    DONE※オトメ勇者最新話(第57話)ネタバレ
    お題は「神無月」です
    今週もまたすごい展開でしたねえ
    推しの心情深掘り第2弾ということで、今週の展開を踏まえた今回もまるで先行きが明るくはないお話です
    毎週のお題に合わせて可能な限り続けていきたいけど、多分そのうち矛盾すると思う(確信)
    書いてて思ったけど、メインストがトゥルー爆走してるなあと思うと同時に箸休め回をくれ…!
    イチャコラさせる暇がないんだよなあ
    裁きの光は虚ろにて / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



















     勇者は、死んだ。エルドアの淡々とした発言を聞いたクロービスは、しばし呆然と立ち尽くしていた。六天魔という異常事態を片付けねばならない、と理性が警告を発しているものの、目の前の光景はとうに現実味を感じられなくなっている。
     いつかの悪夢のように魔物に命を狙われたとしても、守ってやれるはずだった。それがこの現状はどうだろう。女神の声を聴く者は、これほどに呆気なく希望の光を握りつぶし平然としている。傷つき悩み、憂い惑い、それでも譲れないもののために何度でも立ち上がって剣を振るっていた少女を切り捨てる事が、この聖なる地の正義だった。
    1108

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    DONEドロライ参加作品、お題は第一回の「笑顔」です
    ふふ、本編更新前に上げれば仮にどんなにおかんむりでも夢が見れるのだ…!(何)
    こんな感じの何度も不器用に励ます系の話書いてる気がするので、これはきっと私のサビですねえ
    まあ、口下手なのを自覚しつつも、言い直ししつつ懸命に言葉を選ぼうとする推しが好きなのでしょうがないね
    さて、次章はかっこいい推しが見られることを祈りつつ、TLで元気に狂おうと思います←
    start over / クロアス------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------








































     多忙な業務の合間を縫い、今日もクロービスの執務室には恒例となった休憩の時間が訪れていた。

    「あっ、このクッキー美味しいですね!」
    「その感想を聞くのは今日だけで五度目だな」
    「お、美味しい物は何度美味しいって言ってもいいんですっ」
    「……そうかね」

     祝賀式典の最中に魔王の封印失敗の報を受けてから、アステルは気がそぞろとなっている。命がけの戦いを制して平和な世が訪れたと思ったのも束の間、終わったはずの戦いが再度幕を開けたのだ。それは、絆を十分に高めたグランスレイヤーと共に持ちうる力を全て出し切ってもまだ足りない、という認め難い結果を示している。ただの村娘から勇者へと成長し、ようやく使命を果たせたと喜んでいたアステルにとって、この事実は落胆するのも無理からぬ話だろう。
    1530

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    DONE第五回ドロライ参加作品です。テーマは「読書」と「おやつタイム」。
    本編終了後の話のつもりだけど、第2部の終わり方によっては盛大に矛盾するなと思いつつ、思い付いた物はしょうがないよね←
    ビス殿以外ほとんど出てきませんが色々います。個人的には、ビス殿の顔は父親由来で性格もかなり似てるので、この時点で実はもうかなり理想に近いけど、本人に自覚はないという感じのつもり。つまり泣かれるのは遺伝(オイコラ)
    愛しき思い出は残り香と共に / クロアス−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






















     しんと静まり返った書斎に、ときおり紙を捲る音とペンを走らせる音だけが響く。他国から取り寄せた最新の魔導書には、実に興味深い研究ばかりが収録されている。昼食を終えてからひたすら文字を追い続けていたクロービスは、手持ちの書籍を参照しようと栞を挟み立ち上がった。大きな本棚に並ぶ蔵書は、分類法に則り整理してあるため量の割には探しやすい。部屋の主ともなれば勝手知ったるもので、難なく目的の物を見つけ机へと踵を返す。
     確かこのあたりだったか、と本を開き該当の文言を探していく。記述を確認し質問事項を認めると、便箋を折り封筒に収め蝋で封印を施した。出来上がった手紙をレターボックスの束へ加え、ひとまず用の終わった資料を閉じる。年季の入った表紙は初めて見た時よりは大分古ぼけているが、この歳になっても学ぶ事が数多くある良書には違いなく。贈られた当時は『まだ難しいかもしれないな』という言葉に内心反発していたものだが、やはり真に価値を理解してはいなかったのだとクロービスは実感している。
    1010

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    DONE第二回ドロライ投稿作品です。お題は「傘」「ワルツ」。
    キャラストの13話~14話くらいのもだもだしてる時空のつもりです。公式で「相合傘しない」っていうから状況を作りました。追い込み漁は楽しいですね(いい笑顔)
    私の書くビス殿世話焼きすぎでは?ってなりつつも、あれこれ世話焼いてたりとかが積み重なって「言わねばわからぬのか」とか言い始めるのかなってのが根底にあるので、多分ずっとこのままだろうなあ。
    rainy turn / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


















     天から降り注いだ滴は、しとりしとりと石畳に吸い込まれていく。湿った街の匂いに包まれたアステルは、傘の下から覗いた城下の景色に目を向けた。馬車や移動魔法の呼び込みは活発となり、順番を待つ列は次第にその長さを増していっている。露店は晴れの日とは一風変わった品揃えで、服を乾かすための魔道具や天気の悪い日にだけ咲く珍しい花が並んでいた。早々に店仕舞いを始めた馴染みの屋台は、売り切ってしまうつもりなのか軽食の値下げが行われている。そのうちの一袋を応援と共に渡されたアステルへ、先を歩くクロービスから小言が降ってきた。
    2350

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    DONE「オトメ勇者版週末創作一本勝負」の参加作品です。テーマは第一回の「勇者の目覚め」と「笑顔」のつもり。
    本当はストレートにお題を解釈したメイン寄りの話にしようと思ってたんですけど、「6月だしジューンブライドネタは入れたいよな…」とか欲を出し変則的な話になりました。まあ、今月またそんな感じのテーマ来たらもっかい書けるしいいよねって←
    タイトルに指輪と雄弁をかけたつもりはあるけど、指輪でてきてないな…。
    はじまりは銀色な / クロアス 祭壇へと長く伸びる赤い絨毯を、アステルは歩いていた。天井のステンドグラスから注ぐ光は、淡い彩りで床に影を落としている。一歩、また一歩とそちらへ近づいていけば、永遠の愛を誓う相手の様子がはっきりと見えた。
     着慣れない裾の長いドレスやこれからの一連の儀式に緊張しているアステルへ、『大丈夫だ』と言うように優しい眼差しが向けられる。とくんと胸が高鳴ると、張りつめていた気持ちは身体の奥から沸き上がる柔らかで温かい想いに解されていった。足が進むごとに、これから始まる未来への喜びと幸福が満ちていく。祭壇の前に着く頃には、頬が色づく理由は希望に溢れたものに変わっていた。そのまま、いつの間にか諳んじる事ができるようになった宣誓を終え、隣の男性と向かい合う。
    1619

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    DONE想定していた順序を君に / クロアス

    ラーリマはいいぞと思ってるんですが、そういやあれタイトルと発言からすると明言してそうでしてなくない?フィーリング???知らない子ですが?????ってなったので脳内補完しました←
    あの時点の時系列にしては攻め攻めな気がするけど、アステルちゃん寄りに見るとこういう感じかなと
    前半のあふれ出るおまいう感と、後半の覚醒後の雰囲気(のつもり)をお楽しみください
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     温めたカップに注がれた紅茶。小皿に盛られた一口大のクッキー。それらの乗ったテーブルを囲み、アステルとクロービスは執務室で午後の休憩を取っていた。この何気ない日常そのものといった平穏は、突如として壊される。

    「ハッセンだと挨拶でキスしたりするんでしょうか?」

     予想だにしていない言葉に、妙な場所へと勢いよく紅茶が入ったクロービスはおおいに咳きこんだ。アステルはその様子に慌てて立ち上がり、背中をさすってやる。しばしの介抱の後ようやく平静を取り戻すと、潤んだ紫の双眸は自分の席へと戻ったアステルを睨めつけていた。

    「急に何を言い出すのかね」
    「その、あまり実感がないな、と思いまして……」
    「たかが口付けでそう大きく何かが変わるわけがないだろう」

     呆れたようにため息をつく様は、通じた想いが夢だったかのように以前のままだ。一貫して変わることのない態度は 1522

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    DONE予定調和の再構築に失敗しました / クロアス

    久しぶりにラーリマ読み返してやっぱいいな、となりつつも当時乱された情緒の責任を黒魔道士長に取っていただきました←
    あのあと、このくらいズドベシャアってすっ転んでてほしいというか、魂エピソード実装はよ。
    クロアスだけどアステルちゃんは名前しか出てこないというか、地味に名前も出てきてないなこれ。
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     次の書類を取ろうと伸ばした手が机の上を滑る。何度目か数えるのも馬鹿馬鹿しいほどの空振りに眉間のシワを深めたところで、執務室の扉がノックされた。


    「……入りたまえ」
    「失礼しまーす」


     この部屋を訪れる数少ない者のうち、扉の向こうから現れた顔が最近知ったものではないことにクロービスはほうと息をつく。廊下の静けさから見当はついていたが、解答を見るまで気は抜けなかった。


    「魔法薬の報告資料を持ってきました。順調に行き渡っているようですねー」
    「では、これで一段落だな」


     あの後、ステラミーラで採取できた素材により作成した魔法薬は、配下の魔道士により村へと届け終わっている。ひとまず予定した人数に投与が終わった事を示す書類に、クロービスは眉間のシワを幾分和らげた。経過観察は必要だが、早目に対処が出来たのは喜ばしいことである。この分であれば病の流行が終息する日も近いだろう。あの木から葉を託されて本当に良 1878

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    DONE故に恋というものは難しい / クロアス

    バレンタインがあるなら(ry の第二弾。
    これビス殿バレンタインにアステルちゃんから他に本命もらってる想定でもいいし、あのチョコでここまでやらかすのも激重でいいなと思う。
    いやほんとキャラストあそこまで言って断られると思ってたって、本当にそうなったらあの後の空気どうするつもりなんだって感じだし、それでやらかせるならこれくらいやりかねんなというアレです(何)
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    好意とは不安定である。
    悪意や敵意の対義語であるのに、もたらされる結果は必ずしも良いとは限らない。経験則からすると、厄介事の方がよほど多かった。
    過度に楽観的となるのも性に合わない。候補を目にする度に膨らむ想像は、未来の数は一つしかないのだから時間の無駄だ。それでも非効率な空転は当日の午前まで続いていた。

    「好きなものを選びたまえ」

    午後の小休憩の時間、クロービスは机に並べた色とりどりの三つの箱から一つを選ぶよう、アステルへと促していた。
    アステルから見て一番左のローズピンクの箱には、旬を迎えた苺をピューレーにして作られたギモーヴが入っている。柔らかくもっちりとした食感と爽やかな春の味が楽しめる逸品だ。
    真ん中のライムグリーンの箱は、蜂蜜の優しい甘さが特徴のポルボローネが詰められている。口の中でほろほろ 1266

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    DONEmelty rule / クロアス

    バレンタインデーがあるなら当然ホワイトデーもあるよなァ!?ってノリで書いた、スケブ三次創作の「とろけるような」の続編というかアンサーみたいなもの。
    なんか前回のかっこいいビス殿が消えてしまったような気がするけど、まぁ溶けてるから仕方ないよね←
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    レースを終えたアステルは本日の報告書を提出するために、クロービスの執務室を訪れていた。

    「わぁ、こんなにいただいていいんですか?」
    「三倍にするものらしいのでね」
    「ふふっ、実は全部気になってたので、すごく嬉しいです!」

    渡された袋の中身は説明するまでもなかった。バレンタインにアステルが一つを決めるのに時間を要した店のチョコレートの詰め合わせだ。想定通りの反応を得て、クロービスは満足げに口元を緩める。

    「開けてもいいですか……?」
    「少しは堪え性というものを身に付けたまえ」
    「ダメですか?」
    「……君にやったものだ。好きにすればいいだろう」

    弱さを自覚している瞳が無邪気に向けられて、クロービスは早々に抵抗を放棄した。購入時に「過剰に甘やかしていないか」、午後の始業時に「渡す時間が早いのではないか」と問いかけた自分は実に正しかったと 1151

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    DONE幻心痛 / クロアス

    なんとなく興が乗ったので、キバコさんが昨日続き見たいって言ってたと思しき話の候補全部書いてみたよシリーズその④

    影とかポケストの町遭遇イベ(心を惑わす魔物)前想定のあれそれ
    この状態のビス殿スキンシップどうなるんだろ、から色々派生しました
    美味しいように設定をあれそれ捏造しているので、色々気にしてはいけない
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    全ての予定を完了した一日の終わり。
    アステルはクロービスの天幕を訪れていた。
    本日のレースは大荒れに荒れ、怪我を負ったクロービスは中で休んでいるはずだ。

    「クロービスさん、いますか?」

    声をかけるも返事はない。活躍が認められた辺りから、こういった無反応は日常になりつつあった。

    「クロービスさん、いないんですか?」

    中を確認しようと入口に手をかけると、開けるな、と短くも威圧感のある声が響く。アステルは一瞬怯んだものの、話をする絶好の機会にそのまま布を捲った。

    「開けるな、と言ったはずだ」

    強引に入ろうとした気配に気が付いたようで、入口から少し離れた薄暗闇にクロービスはいた。手当ての最中だったのか、上半身はシャツがはだけており、包帯が巻かれた素肌が露わになっている。右胸に固定された布には血が滲んでいた。痛々しさに反射的 1584

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    DONEmirage / ノア家

    なんとなく興が乗ったので、キバコさんが昨日続き見たいって言ってたと思しき話の候補全部書いてみたよシリーズその③

    幼少期とかどうしよ…って色々悩んだ結果こうなりました
    両親の名前とか祖父母の関係とか、そもそものあの日とか例の件とか、出てきたらもっと捗るから頼んだぜ公式
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    父親に似たのかクロービスは物覚えの早い子だった。喃語から指差し、一語文、二語文と驚くほどのスピードで習得している。
    ただし、身体の発達は年齢並のため、乖離による葛藤も顕著だった。ぐずる理由は大抵その差が原因となっている。なおややこしいことに、見かねた大人が手を貸せば、邪魔をするなと泣き出すこともしばしばだった。
    故に今の状況は、苦節数ヶ月にしてようやく達成された悲願である。

    「…………」

    遠い国の国鳥を模したおまるで、愛らしい額にシワを寄せていきむ我が子を、母親はそっと見守る。長らく跨がるという動作に苦戦し続けていたが、今日は初めてそれを達成する事ができていた。通常であれば、オムツの交換の時間はそろそろだ。順調に進めば夫にまた一つ成長の喜びを伝えられそうである。
    時を待つ間、この気難しい子が大きくなったら、どんな大人になるのだろうと、幾度となく 709

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    DONE計画的な夜の過ごし方とその破壊 / クロアス

    なんとなく興が乗ったので、キバコさんが昨日続き見たいって言ってたと思しき話の候補全部書いてみたよシリーズその②

    アステルちゃんが図々しいというかふてぶてしくないか?となってしまったが気にしてはいけない
    今回のシリーズで1番平和な話がこれ
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    明日は久し振りに互いに何の予定もない日だった。
    部屋で話をして過ごすのも、城下のカフェに出掛けるのも悪くない。
    だからそれを見越してきっちり二時間前に寝るよう申しつけた。
    そう、指示していたはずなのだが。

    「あ、クロービスさん。お疲れ様です」

    既に寝入っているはずのアステルはベッドへうつぶせになり当然のごとく起きていた。ポテトチップスを片手に、雑誌を読みふけっている真っ最中だ。無造作に晒されている肌は室内灯に照らされている以上に眩しい。
    クロービスは、あまりの光景にどこから注意したものかと溜め息をつく。

    「寝るのではなかったのかね」
    「『すぐ』っておっしゃってたので待ってようと思って」
    「むぅ……。眠る直前に間食はよしたまえ。一人で一袋も食べたらカロリーオーバーだ」
    「これ三袋目です」
    「……読むなら座って読みたまえ」
    「雑誌はこうやって読むのが楽 1116

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    DONE※死ネタ
    継がれるべきは / 三柱

    なんとなく興が乗ったので、キバコさんが昨日続き見たいって言ってたと思しき話の候補全部書いてみたよシリーズその①
    元ネタの影響で私にしては珍しくビス殿が死んでる話になります。今回のシリーズだと二番目に暗いお話かなぁ。
    初めて書く三柱の話これでいいのかしらん、てなったけどそういや大昔にクリスマス書いてたから何も問題ないな←
    ----------------------------------------------------------------------------------------------


















    第三次グランロット攻防戦。
    長きに渡る戦いは、ある黒魔道士の死をもって一応の終結を迎えていた。
    葬儀は国を挙げてしめやかに行われ。
    空いた席は生前目にかけていた者が座る事が決まり。
    そうして、彼の掲げた理想は日常と同化しつつある。
    苦楽を共にした二人の時を、あの日に置き去りにしたままで。

    「次の魔道士長は、どんな人になるのだろうね」
    「そうですねー。穏やかな人柄だとは聞いていますがー」

    リーンハルトとサシャは、この部屋の次の主を話題にしつつ、遺品の整理を続ける。元々私物の少ないクロービスの元執務室は、手をつけてしまえばあっさりと片付いていった。部屋に差し込む日の高さは、つい先ほど数ヶ月振りに入った時とそう変わってはいない。

    「あっ、これはレジェンドラの遺跡で発見した石版ですねー」
    「興味ないって言っていたのに取っていたのか」
    「確か魔法薬の付け置きには使えそ 1160

    ParAI_t

    DONE暁を覚えず / クロアス

    某スケブが刺さったので書きました。いやもう、朱羽さんの発想の勝利なので、私は設定ほぼなぞっただけですが…!
    なんかもうこれ若干恒例化しつつあるけど、テンションブチ上がったからしょうがないよね(遠い目)(貰った物は書いていいと思ってる顔)
    --------------------------------------------------------------------------------------------------




















    春の足音が迫る、とある日の午後。
    ぼんやりと覚醒したクロービスは、己の失態にむぅと唸る。不幸中の幸いにも、枕代わりにしてしまった書類は無事だった。例の一件から妙な癖になってしまったな、と眉間のシワを深めると机の上のメモが目に入る。

    『おつかれさまです!疲れたときは糖分とってくださいね』

    余計な世話を焼く暇があるなら、勇者の務めに励みたまえ。そんな小言は、覚えの無い肩の毛布の重みと、仕事中でも手に取りやすい菓子の存在に封殺される。結局再度、むぅ、と唸ることしか出来ず、クロービスはため息をつく。
    ここのところ、アステルは用意周到な心遣いをしてくるようになっている。業務の助けとあれば断る理由はないのだが、こちらばかり把握されているというのは形容し難い悔しさがあった。勇者としての適性調査のため、クロービスの方が先にアステルを知っていたはずなのに、差が日に日 831

    ParAI_t

    DONEとろけるような / クロアス

    某スケブでテンションブチ上がったので書きました。
    いつも通り、来年まで今年のバレンタインなので何も問題はなかった(問題しかない)
    キャラスト版の火力ましましビス殿ならこのくらいいけんじゃね?ってなったので、なんかやたらと甘いビス殿に仕上がりました。
    ま、バレンタインだからいいじゃろ←
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    眠る時間の少し前。
    後ろ手に何かを隠し持ち、動きまで若干ぎこちなくなったアステルに、クロービスは苦笑する。

    「渡すのならば早くしたらいいだろう」
    「こ、こういうものは、緊張するものなんです!」
    「…そういうものかね」

    アステルは目を伏せ頬を染めて、恥じらいながら俯いている。最初は、今更照れることだろうか、と冷静だったクロービスも、落ち着きに揺らぎが生まれていた。わかっている答えを受け取るだけだというのに、妙に歯がゆくもどかしい。すっかり気恥ずかしさに包まれた二人は視線が合うと、緊張の糸が切れてどちらともなく笑いあった。

    「ふふっ、バレンタイン、です」
    「ああ、ありがたくいただこう」

    笑みをこぼしながら、クロービスは渡された包みを開ける。中には一粒のチョコレートが鎮座していた。職人の技巧が尽くされているであろうそれは、見た目にも繊細で美しい。

    「チョコレートは安眠効果もあ 830

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    MOURNINGかわいいひと / クロアス

    クロービスさんキャラスト第5騨没ver
    まぁ、どっちになるかわかんなかったら2パターン用意しますよねぇ!?
    嫉妬関係のあれそれを通らなかったので、こちら完全に没案でござい
    まぁ、ないよりある方がいいじゃろの精神であげまする
    ------------------------------------------------------------------------------------------



















    「クロービスさん、もうそろそろ寝ないと明日に響きますよ」
    「むぅ、もうそんな時間か」

    アステルはよく眠れる効果があるという茶を差し出して、今日の業務の終わりを催促する。仕事へと没頭していたクロービスは書類から顔をあげると、カップを受け取った。

    「飲み頃だと思います」
    「うむ」

    適温まで冷まされた紅茶へクロービスは口をつける。舌に馴染む香りが疲労へとよく効いた。ほう、と息をつけば、緩やかに眠りの気配すら感じられる。
    アステルはといえば、カップを渡してからというものの、一挙一動を見逃すまいとばかりに、しきりにクロービスの様子を気にしていた。やや緊張した面持ちで注がれ続ける視線に、やれやれと苦言が呈される。

    「君は人が何か食べているのを見る趣味があるのかね」
    「だって、今日のは自信作ですし…。好きな人には美味しいっていってもらいたいじゃないですか」
    「…悪くはないな。 935

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    DONE願いのその先で / クロアス

    個人的には影123+光34くらいにならんかと思ってたんですがまさかまさかのあの展開で、用意してたパターンどっちもそぐわない気がしたんですが、多分こっちならギリありかなと思うのでこちらで…!
    公式の見せた解があまりに綺麗すぎて何をいっていいやらわからないですね…!
    大人可愛いを全力でお出しされてしまってはもう言えることが何もないよ…!
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    クロービスとアステルは城下を訪れていた。決まった時間に決まったルート。アステルはもう手慣れたもので、辺りを見回しながらも目的地をしっかり見定めて進むことが出来ている。

    「君は随分とこの街に慣れたようだ」
    「はいっ。もしかしたらもうクロービスさんよりも詳しいのかも」
    「……ほう、大した自信だな?」
    「試してみますか?」

    アステルはこの通り沿いを見渡した。一軒一軒指折り数え、ある建物に目を留めて高らかに宣言する。

    「あそこには新しく紅茶の専門店ができます!」
    「当たりだ。ラクリモッサに本店を置く老舗だな。契約農家の質が良く、王室御用達とするかどうか審査中という報告を見たよ」
    「え、ええっと、じゃああっちにはリンゴ飴の専門店が」
    「キスククからの直輸入店か。スレイヤーで何人か浮き足立っている者がいたので目を光らせておかねばならぬ」
    「うーん、とそれじゃ…」
    「ああ、そういえばこの 1476

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    DONE言葉よりも雄弁な / クロアス

    クロービスさんキャラスト公開記念第四段①。
    え、もう、どうしろと感がすごいのですが、お約束はお約束ですので…!
    明日まじでどっちに転ぶというのか、公式に命握られてる感がすごい。
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    「勇者さん、ありがとうございますー。おかげ様で随分片付きましたー!」
    「いえいえ、お手伝いになったらよかったです」

    午後の予定を失ったアステルは、書庫でサシャと本の整理をしていた。地下に所蔵されている本と書架の本の定期的な入れ替えは、人手が多く必要な大仕事である。今日一日では到底終わらず、また手伝うこともありそうだった。

    「またいつでも呼んでくださいね」
    「すみませんー。クロービスがいれば、もう少し効率良くできるのですがー」

    名前があがった瞬間、アステルの顔に一瞬暗い影が差した。サシャは穏やかな表情で、無理には聞きませんが、と断りを入れる。

    「クロービスと何かありましたかー?」
    「何か、というほどのことじゃないのかもしれないんですけど…」

    ぽつりぽつりとアステルは今までの出来事を話し始める。最初は会話もままならなかったこと。段々と話題が増えて次の機 2417

    ParAI_t

    DONE琥珀色の魔法 / クロアス

    クロービスさんキャラスト公開記念第三騨!
    厄介な案件の追記のあまりの火力に震えつつも、厄介な案件~クロービスの失態の間のつもりです。
    今回はネタバレ少な目かもですが、まさかの公式の方が甘いとか…!
    くっそ、これだからオトメ勇者はやめらんないぜ!
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    ロードオブグローリーに出場するようになってからというものの、クロービスへの見合いの件数は日増しに増えていた。レースで国内外から注目されているせいもあり仕方のない事とはいえ、頭の痛い問題であることには変わりない。クロービスは、厄介なことだな、と零しつつ、書き慣れた断りの文句を連ねていく。ちょうど決済書類を運んで来ていたリーンハルトは、終わるのを待ちながら、一つ提案をした。

    「俺が代わりに会ってきましょうか?」
    「これ以上面倒事を起こされるのはごめんだぞ」

    リーンハルトが特定の恋人を作らないことは有名だ。そして、見合いにくるようなご令嬢方はどれもこれも高貴な育ちで、良くも悪くも純粋が過ぎている。この男と下手に引き合わせて熱を上げられたら、と考えるだけでも恐ろしい。政治的にも痴情のもつれ的にも、以前この男のせいで経験せざるを得なかった物とは比べ物にならない程の修羅場になりかねないだろう。

    2291

    ParAI_t

    DONEいずれ貴方へと続く導 / クロアス

    クロービスさんキャラスト公開記念第二段!
    ようやく予定がとれてほっとしています←
    今回のお話は、1話目公開分が不機嫌な黒魔道士~クロービスと視察へ、という読みからの、クロービスと視察へ~怖くないからの間の話のつもりです。
    繋げるつもりで書いており、プライベートエピソードの内容をやや含むので、これからキャラスト読む方は各自ご自衛・ご判断をよろしくお願いします。
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    先日の酒場から少し距離のあいた店の先。クロービスが戻ってくると、そこで待っているはずの人影はなく。また妙なことに巻き込まれたか?、と警戒しつつ辺りを見回せば、やや離れたところに見慣れた三つ編みが揺れていた。
    声をかけようとして、見知らぬ子供が不安げにアステルのスカートの裾を掴んでいるのが目に入る。当のアステルは、近くの露天の店主を巻き込んでなにやら話し込んでいた。何度かのやり取りの後、花が咲いたような笑みを浮かべ、子供へと向き直る。屈んで何やら身振り手振りを交えていると、仕舞いに、ありがとうお姉ちゃん、と少し弾んだ声が響いていた。
    小さな手が曲がり角に消えるのを見送り、アステルは小走りでクロービスの元に駆け寄ってくる。

    「お待たせしました! すみません、迷子がいたのでつい……」
    「……君は城下に明るくないから、私に着いてきたのではなかったかね?」
    「はい。だから近くのお店の人に道を聞 2894