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    なるぎれ

    お試し使用中。
    ジョジョハマって3年生になった!

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    なるぎれ

    MOURNINGもういっちょ。
    これも大人になったユリオくん視点。
    5.この夜の帳



    ヴィクトル・ニキフォロフは死んだ。

     
    そう言って奴の背を蹴っ飛ばしたのは、何年前のことだったろうか。
    確かに死んだのだ。当時のオレはそう思っていた。それなのに、直後あっさりと生き返りやがってカツドンと二人で間抜けヅラでニコニコ笑っていやがった。

    それから今まで、奴は何度か死を迎えた。死が訪れるときはたいてい、カツドンとすったもんだしていて、あんまりにも酷いときには、いい大人が二人して泣き喚く…ことも、あったらしい(なにせおれ自身はカツドンと喧嘩してジジイが泣いているところを今までの人生で一度も見たことがない)(他の泣き顔はリンクサイドで嫌というほど見たが)それでも、何が起こっても、二人の仲が崩壊することはなく、毎回見事に生き返ってきたのだった。

    あまりにも毎回毎回ひょっこり生き返ってくるもんだから、図太い不死鳥だと言ったら「フェニックスかぁ…格好いいね…」なんてカツドンがうっとりした顔をしやがるので、無性にムカついた覚えがある。あまりにムカついたのでアイツの向こう脛を蹴っ飛ばしたのは、まあいつものことだ。
    ヴィクトルがそれをどこで聞いていやがったのか、それ 1524

    なるぎれ

    MOURNING小説も載せられるのか…!と思って、もったいないオバケをしてみよう。
    YOIでは、なんだか妙な衝動で、小説とも言い難い作文をちょこまか書いておりましたねえ…。
    ユリオくんが成人してるくらいの未来設定です。
    3.夜のはなし


    マッカチンは、びっくりするくらい長生きだった。

    元々利口な犬だったが(まぁ食い意地に関しては別だが)アイツは死ぬときすらも利口で、オフシーズンの、オレたち三人ともがピーテルにいるタイミングで、しかもオフの日に、きちんと死期をさとらせて、その上で逝った。

    「もう今晩あたりでお別れかもしれない」

    と、ヴィクトルから連絡が入ったときに真っ先に心配したのはカツドンのことで、(なにせ二度目の愛犬の死だ)いてもたってもいられなくなったオレは、とりあえずすぐに奴らの家に向かうことにした。

    息を切らせているのを悟られないよう、ゆっくりと部屋に入ると、想像に反して、穏やかな顔をしたカツドンがいて、マッカチンの腹をなでながら、たわいもないことを話しかけていた。

    「あ、ユリオだ。マッカチン、ユリオがきたよ」

    と、ほとんど撫でるかのように、ポンポン、とマッカチンの腹を叩きながら、カツドンが声を上げる。
    「おう、」と、出した声は、随分と囁くようなボリュームになった。カツドンの背後からそっと覗き込むと、マッカチンはゆるりと目を開けて、オレを見て、そしてまたゆっくりと目を閉じた。

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