そんなこと言ってない「愛音ちゃん、もう少しだけいて」
服の裾を引っ張られてそんな風に言われたらお手上げだ。今日は大学の授業が1限からあるけど、友達にノートの代行頼んで休んじゃおうかな。
「……お願い」
大学の授業とそよりんを天秤にかけてあっさりとそよりんが勝った。私はまた布団に入るとスマホの目覚ましをかけて眠った。
「愛音ちゃん、学校行かなくて大丈夫なの?」
そよりんがそう心配そうに覗き込んできた。
「ん? あー、2限からにしたから大丈夫」
「2限からにしたって自主的に休んだってこと?」
「うん。そうだけど」
「そんなのだめだよ」
「えー、だってそよりんが一緒にいてほしいって言うから」
「私、そんなこと言ってた?」
「うん。言ってたよ」
404