………………。
痛い。
冷たい。
寒い。
禰豆子。
そうだ、禰豆子もきっと寒がってる。
早く起きなくちゃ。
早く。
禰豆子を人間に戻さなきゃ。
そんな方法あるのかわからないけど。
大切な妹なんだ。
たった一人になってしまった俺の家族なんだ。
早く。
早く、禰豆子をーーー。
意識が浮上するより先に手が動いていた。
目を開けた炭治郎は、自分が禰豆子の羽織を掴んでいる事を理解するのに数秒かかった。
背中の痛みと雪の冷たさが意識をはっきりとさせてゆく。
禰豆子だ。
目の前に禰豆子が横たわっている。
あたたかい。
生きてる。
禰豆子の血の匂いもしない。
気絶してるだけなのか。
息を吐く。
少しの安堵と、夢ではなかったという深い絶望。
勝手に溢れてくる涙が止まらない。
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