いつかの電話の話
恒例の旧友たちとの集まりだった。本日の個室には八人が集まっている。皆んな成人してアルコールを楽しく飲むようになり、話題も高校生の頃とは随分変わった。そんな中で、轟は遅れてやってきた出久が轟の隣に座り、ビールジョッキを一杯開けたタイミングで、ふと思い出したことを口に出した。
「そういや先週ロディと会ったぞ」
「えっ」
肩をびくりと跳ね上げ、元々丸い目をさらに丸くし、轟を出久が凝視してくる。
「お互い時間があったから居酒屋で一杯飲んできた。座敷席だったんだが、正座しなきゃなんねえのかって最初慌ててて面白かった……緑谷?」
ざわざわと騒がしい個室の中で、出久の動きだけが完全に止まっていた。なにせ、きゅうりの叩きを取ろうとしていた箸さえ微動たりともしない。
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